医療教育情報センター

No97 心臓突然死

 心臓突然死(Sudden Cardiac Death: SCD)は米国では年間に45万人もあり、大きな社会問題となって、その対策として現場での心肺蘇生術とAED(自動体外式除細動器)の普及が行われている。日本では厚労省の突然死に関する研究班(小西ら)の報告では、20−75歳の突然死の年間発生率は人口千人対0.35人で、その内の77.2%が心臓突然死と考えられ、心臓突然死は年間3万4千人と推定されている。心臓突然死の原因としては心室細動と急性心筋梗塞が挙げられていて、前者に対してはICD(植込み型除細動器)の使用が行われるようになってきた。
 高齢者施設においても突然亡くなる人があり、その主な原因は心臓であるといわれ、米国のナーシングホームでの臨床的死因として、心臓突然死25%、心筋梗塞18%、うっ血性心不全11%、脳梗塞6%、脳出血1%、肺塞栓2%、肺炎15%、尿路感染症4%、がん9%、腎不全3%、肝疾患2%、血液疾患1%、閉塞性肺疾患1%という報告がある。
 高齢者の心停止者への蘇生術の成功率は非常に低く、肋骨骨折などの合併症は必発であることから高齢者施設での蘇生術実施には問題がある。しかし、何もしなければ高齢者虐待防止法に挙げられている介護放棄にもなりかねないので、蘇生術をしながら救急病院へ搬送されるが、そこでは異常死として警察に連絡されることになる。事例によっては施設で医師が直前まで診察していれば、警察から施設で死亡診断書の記入を依頼されることもある。
 特別養護老人ホームでは入所している高齢者の認知症が進行して終末期が近いと考えられる状況になれば、家族に説明して施設で最期が迎えられるように看取り同意書に署名を頂くようにしているが、そのような入所者が心停止を起こした場合にはあえて蘇生術を行わず、自然死を受け入れることも可能と考えられる。(SF)


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(No097;2008/05/02)


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