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脳血栓溶解薬投薬の適応時間延長と血管内治療

 高齢者の寝たきりになる原因として重要な、頭の血管に血の塊が詰まる病気である脳梗塞は年間に7万人以上が死亡する病気でもある。この治療に血の塊である血栓を溶かす治療薬があるが、それを使える時間が発症3時間以内から4時間半に延び、さらに血管に管を通して血栓を取り除く手法も登場し、治療法の選択肢も広がり、救える患者も増えている。
 脳卒中の8割を占める脳梗塞は、年間推定約20万人が発症する。血管に詰まった血栓を溶かすtPA(アルテプラーゼ)は、発症直後に静脈から注入して使うが、発症3時間以内の使用しか保険適応が認められていなかったが、これが4時間半以内に延長された。tPAはうまく使えば血栓を溶かすが、時間が経つほどもろくなった血管が破れて出血の危険性を高めてしまう。安全性を高めるため3時間以内に使うのが条件とされてきた。しかし、4時間半以内の使用でも治療の有効性と安全性が認められ、使用できる時間が延長された。使用できる患者さんが従来より2〜3割増えるとみられている。
 tPAが効きにくい太い血管の血栓に対して、足の付け根の血管から細い管を血栓の詰まった部分まで通し、血栓を直接治療する血管内治療が始まった。管の先端からコイル状に変形するワイヤを出し、血の塊を絡め取るメルシーリトリバーという機器が使われ始めた。血管壁が破れやすい状態の場合、金属の網状の筒を入れて血管を補強する治療も行われる。さらに、ポンプにつなげた管で血栓を吸い取るペナンブラという機器も使われ始めた。このように太い血管の血栓が積極的に治療できるようになり、首の太い血管の梗塞で、tPA治療だけでは22%、血管内治療も受けると48%が社会復帰できたという。メルシーリトリーバーは、@太い血管でも効果が高い、A硬い血栓にも有効という利点があり、@細い血管に使うと血管が損傷することが多い、A曲がった血管には不向きという欠点がある。ペナンブラは、@細い血管にも使える、A治療による出血が少ないという利点があり、@硬い血栓には効果がない、A血栓を吸い取るために専用のポンプが必要という欠点がある。
 これらの血管内治療は技術が必要で、全国で実施できるのは約360病院。24時間態勢で対応できる病院はその一部。地域格差も大きい。多くの患者さんが恩恵を受けられるよう、拠点病院を決めてそこで血管内治療を集中的に担うことが検討されている。
                                               (SS

(No099r;2012/12/14)


脳梗塞血栓 t-PA 投薬適用時間延長 血管内治療

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