医療教育情報センター

No103 POLST(生命維持治療に関する医師の指示)

 2008年4月より施行された後期高齢者医療制度の中に、後期高齢者終末期相談支援料が新たに創設されたが、反対意見が噴出したため短期間で保留となり話題となっている。現場では高齢で多くの疾患をかかえ、末期になった人が、在宅或いは施設で急変したときの対応は難しく、救急医療の抱える問題ともなっている。介護保険では、施設でこのような患者を看取ることができるようにするために「看取り同意書」の作成が求められている。
 米国でも高齢者の終末期の延命治療に関して議論があり、1990年にPSDA(Patient Self Determination Act:患者自己決定法)が施行され、高齢者が病院へ入院する際に、延命治療に関して患者が意思表示をする事前指示書を作成することを促すことになっているが、実際に作成している人は20−30%と言われている。特にナーシングホームなど施設にいる高齢者が急変時に事前指示書(アドバンス・ディレクティブ)を持っていても、それをどこかに仕舞い込んでいて有効に利用されていない事例があることが指摘されている。
 オレゴン州では1991年にPOLST(The Physician Orders for Life-Sustaining Treat‐ment:生命維持治療に関する医師の指示)が試行された。効果の期待できなくなった人への不必要なあるいは無駄な医療を行わないようにするもので、あらかじめ一定の書式が用意され、医師は本人や家族と終末期にどのような治療を受けるか話し合って、その意向に従って、急変時の蘇生術、病院への搬送や侵襲的医療行為、経管栄養、抗生物質の使用など具体的な指示を医師が記入するようになっている。2004年の調査によると、オレゴン州のナーシングホームの71%で行われ、88%の入所者がPOLSTを利用していた。
 現代の高度に進歩した医療技術を高齢者終末期の患者にどこまで実施すべきか、医療者だけでは決められず、患者本人、家族も含め、医師以外の看護師やソシャルワーカーも一緒に、予定している医療行為の効果・危険性と費用を考慮して、お互いに納得できるように議論を重ねて、出来れば何らかの意思表示を書面で残す必要があると思う。(SF


内視鏡手術 外科的侵襲 生活の質 不定愁訴 欠損治癒
(No103n;2008/08/04)

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