医療教育情報センター

No107 「メディカルスクール」構想のその後

 先に、本欄で東京都が米国やカナダなどで設置されている医学教育機関であるメディカルスクールにならって4年制の医師養成をめざす専門職大学院「メディカルスクール」創設について検討に入ることを紹介した (No069;2007/01/26)。       
 これを受けて設置された東京都・メディカルスクール有識者検討会のワーキンググループから8月8日に報告書が出された。それによると、メディカルスクールを論じる前に、日本の医学教育に望まれる体制と、東京都の関わり方を検討することが必要としている。その上で、東京都が医学教育機関を新たに設立する場合には、グローバル化時代にふさわしい医学・医療のリーダーを育成することが必要だと指摘し、単なる医師不足対策であってはならないとしている。検討会は同報告書を踏まえ、来年3月までに検討会としての報告書をとりまとめる方針だという。
 一方、メディカルスクールについては、四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会で組織)も昨年から検討会を立ち上げ協議を進めており、9月3日に4年制のメディカルスクール創設を提言した報告書(案)を明らかにした。
 それによると、メディカルスクールを「大学の学部4年間において幅広い教養教育を修了した卒業者を対象として、医療に関する専門的な学修を集中的に行う医学教育システム」と定義し、既存の大学医学部が作るのではなく、米国のように、実力のある複数の臨床病院が協力してメディカルスクールを病院に付設するとしている。そうすることにより志望学生は臨床医になる強い動機付けを持ち、臨床志向の高い医師を養成できることが期待されるという。
 現在のように高校卒業後6年間の医学部卒業で作られる医師と、4年間の充実した教養教育を一般大学で修了したあとに続く4年間のメディカルスクール卒業の医師とどちらが良い医師を育成できるか興味深いところである。しかしわが国では充実した教養教育を学習できる大学が果たしてどれほどあるかが問題である。平成3年の大学設置基準改定により、大学の一般教育課程(教養教育)は廃止されてしまったのである。
 メディカルスクール構想の理念は素晴らしいが、現在の日本の大学教育システムの中でどう実現させるか十分な検討が必要である。これと医師不足解消とを混同して議論することは、かって戦争中の「短期養成の軍医」になりかねない。
 国民に質の高い医療を提供するためには質の高い医師を作るという原点に立って議論しなければならない。(TI


看護師の養成 看護職就業者数 看護師の離職率 看護師カリキュラムの改正
(No107n;2008/10/03)

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