医療教育情報センター

No115 高齢者終末期相談支援

 平成20年に始まった後期高齢者医療制度の中に新たに設けられた後期高齢者終末期相談支援料は、色々批判が出され6月に凍結されたが、幾つもの慢性疾患をかかえて末期となった高齢者にとって適切な医療を考えるためには、その患者の予後を把握して、その後に予測される必要な医療について患者や家族と話し合うことは必要なことである。それに点数をつけて経済的な誘導をしたように思われたところが問題であったと考える。
医療の現場で慢性疾患の末期状態になった高齢者にも高度医療を実施することは必ずしも適切であるとは言えない。例えば2006年に新たに人工透析を受けた人で90歳以上の人が451人あり、90歳以上で透析を受けている人の1年の生存率が0.516というデータがあるが、慢性腎疾患が進行して腎不全になった高齢者への透析療法の適応は、医学的な基準だけでなく、患者のQOLや意向、家族の状況、経済的条件なども配慮して考えるべきである。慢性疾患の急性増悪などで入院した高齢者が小康を得て退院する前に今後の医療方針についてもデータを基に十分時間をかけて話し合う必要がある。
介護保険で看取り加算が認められるようになってから、特別養護老人ホームに入所する高齢者とその家族に入所時に最期の看取りの話をすることになっているが、終末期医療についてたずねると、人工呼吸器などの機械をつけて延命をすることはいらないが、経管栄養はしたほうが良いと考える人もあり、延命措置に関する考え方も一定ではない。人の生命に係わる問題であり、説明する医師のほうも患者・家族の気持ちに配慮できるようにならなければならない。
 米国のオレゴン州で行われている延命措置に関する医師の指示(POLST)の書面を作成することにより、ナーシングホームに入所している高齢者の救命の可能性のない急変時に施設から病院へ救急搬送することを減らすことが出来たという報告もある。
 幾つもの慢性疾患をかかえ末期症状になった高齢者の終末期医療のあり方、特に延命措置について、患者と家族に医療担当者が時間をかけて話し合うことが出来るようになるのは望ましいことである。(SF


後期高齢者医療制度 終末期相談支援料 POLST 延命措置 人工透析
(No115n;2009/02/20)


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