医療教育情報センター

No117 看取りのケア

 映画「おくりびと」(滝田洋二郎監督、本木雅弘主演)が、米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。本木雅弘氏演じる納棺師は何かもわからぬままに働きはじめる。職業への偏見の中、つらいことや嫌なことを体験しながらも、山崎努氏演じる社長厳しくも暖かく見守られながら、感謝される喜びややりがいを感じていく。そして徐々に「人の死」と人間の尊厳という仕事の奥深さを学び、成長していくという物語である。彼の納棺師としての「死に化粧」と「納棺」の儀式を執り行う姿は、多くの人々に感動を与え、大切な人のおくりかたを考える機会となった。
 平成18年度(2006)の死亡数は1,084,450人(男性581,370人、女性503,080人)であり、平成52年(2040)には166万人/年になるといわれている(社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」)。国民の58.8%が自宅で最期まで療養することを希望している一方で、同じく国民の65.5%は介護してくれる家族に負担がかかる、症状が急変したときの対応に不安があるといった理由により、実現困難であると回答している(「終末期医療に関する調査等検討会」報告書)。実際、医療機関において死亡する割合は年々増加しており、昭和51年に自宅で死亡する者を上回り、平成17年には医療機関が82,4%、自宅が12.2%となっている(人口動態統計:厚生労働省)。
 病院において患者が亡くなられたときには、看護師が「死後の処置」を行う。ご家族の希望によって一緒に行う。近年、その方法やあり方について見直しが行われるようになった。作家の小林光恵氏(元看護師)が2001年に「エンゼルメイク研究会」を設立し、「ケアとしての死化粧―エンゼルメイク研究会からの提案」(日本看護協会出版会)の出版がその大きなきっかけとなったという。ご家族の声に耳を傾けながら、声かけや所作を含めて、「最期にふさわしい姿」への手助けが、死者に対する人間としての尊厳を保ち、深い悲しみを持つご家族への癒しとなっていくものと考えられる。(EN))


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(No117n;2009/03/23)


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