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No118 総合医療に関連する3学会が合併へ

 近年、医師の不足や偏在が主な原因と考えられて医療崩壊が起こっているといわれている。そのため厚生労働省は医学部入学定員の増加や卒後臨床研修制度の見直しなどの政策を打ち出しているが、根本的な問題解決にはならないと考えられる。  と言うのは、わが国はすでに高齢社会を迎え、急性重症疾患から生活習慣病を中心とする慢性軽症疾患への疾病構造の変化、患者の人権意識の高まりによる自己決定権の主張や医療訴訟の増加、医療費の高騰など医療をめぐる諸問題は、従来の細分化された疾患中心の専門診療のみでは対応できなくなってきているからである。
 この観点からすると、不足しているのは専門医でなく、患者を総合的に診ることができる医師ないし地域でホームドクターとして診療にあたる“かかりつけ医”である。現在、我が国で総合的な医療を展開することを目的としている学会としては、日本プライマリ・ケア学会、日本家庭医療学会、日本総合診療学会の3学会が存在する。
 3学会はそれぞれ特色を有するが、専門細分化、身体面の偏重、研究の重視など“病気中心の医療”から、患者のニーズに応じて精神・心理・社会的な問題にも目を向け、病んだ一人の人間を家庭や地域を含めて診る“病人中心の医療”を目指している点では共通している。
 3学会は、2005年京都で開催されたWONCA(世界一般医・家庭医学会)に合同で参加した(医療ニュースNo041;2005/06/06)。3学会執行部はこれを契機に集まる機会を重ね、それぞれの学会の理念や使命には若干の差異はあるものの、総合医療を普及させるには3学会の合併を進めることが最重要であるという点で意見の一致をみた。
 本年中に各学会の会員から3学会合併の同意を取り付け、2010年には一つの学会に大同団結してスタートするタイムスケジュールも出来上がっている。
 総合医療が力を発揮するには、総合医療を実践できる医師の養成が不可欠であるが、養成プログラムについて3学会の代表者が検討を重ね、臨床研修に続く後期研修で行うカリキュラムをすでに作成している。こうした動きからも、3学会合同が単に“絵に描いた餅”でないことを示しており、今後に大きな期待が寄せられる。
 総合医療が我が国で発展成長するためには、こうした医療者側の努力と共に、国民の支持が欠かせない。これまで国民は病気中心の専門診療に対して大きな期待を寄せてきたが、今後は病人中心の総合医療が必要不可欠であることを認める意識改革が求められている。(TI


医療崩壊 日本プライマリ・ケア学会 日本家庭医療学会 日本総合診療医学会 全人医療
(No118n;2009/04/10)


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