医療教育情報センター

No127 子宮頸がんワクチンと検診

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会薬事分科会は、9月29日、子宮頸がんの原因となるウイルス感染を防ぐワクチンを承認した。直接がんを予防することを目的としたワクチンの承認は、我が国では初めてのことであり、その効果の期待は大きい。
 子宮頸がんは女性特有のがんの中で、罹患率、死亡率とも乳がんに続いて2番目に高く、年間3,000人弱の人が子宮頸がんで亡くなっている。罹患率や死亡率は、以前は40〜50代にピークがあったが、最近では20代、30代の若年層に増加している。若年化が進むことにより、子宮頸がんのため子どもを授かる前に子宮を取らなければならなくなり、幼い子どもを残して死んでいく女性が増えるなど、多くの問題が起こっている。
 子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんである。性行為によるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発症する。HPVには100種類以上のタイプ(番号で分類されている)があり、がん化しやすいものとしないものに分けられる。がん化の確率の高いハイリスクタイプのHPV(16,18,31,33,39型など)が子宮頸部粘膜に感染すると、10人に1人の割合で、子宮頸部に前がん病変である異形成が生じる(異形成とは、子宮頸部の正常細胞にHPVが感染した状態の細胞である異型細胞の集合体をさす)。そしてHPVの持続感染者の約1000人に1人の割合で浸潤がんが生じるとされている。HPV感染から浸潤がんまでの経過は長く、5〜10年程度を要する。この長期間に及ぶ前がん病変の段階で検診によって発見できれば、子宮を摘出せずに子宮頸部を部分的に切除することで治癒できる。
 子宮頸がんワクチンは早ければ年内にも販売が開始されるが、今回のワクチンはハイリスクタイプの16,18型を標的にした感染予防ワクチンである。欧米では16,18型がHPV感染の8割前後を占めるが、わが国では6割程度である。残りの4割は他のタイプのHPV感染によるものであるため、現在のワクチンを接種しても日本人の子宮頸がんのすべてをカバーできるわけではない。その意味でワクチン導入後も検診を進めていく必要がある。がん検診というと中高年が対象と思われがちである。近年の性交渉の低年齢化により、若年者に対する子宮頸がんの検診は性行為を経験したら1年後から受けることを啓蒙することが必要である。(EN


子宮頸がんワクチン 子宮頸がん ヒトパピローマウイルス 前がん病変 検診
(No127n;2009/10/02)


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