医療教育情報センター

No131 統合医療

 現代の医療は西洋医学を中心として急速な進歩を遂げているが、全ての患者に満足の得られる医療が提供されているとは言えず、最近では従来から行われていた伝統医学や相補・代替医学が注目され、米国民の約1/3が代替医療を利用しているという調査報告もあり、日本でもかなり利用されていると思われる。現代西洋医学にさまざまな相補・代替医療を積極的に取り入れて、統合的な治療とケアを提供することを目的とした統合医療(integrative Medicine)が提唱され、1998年に日本代替・相補・伝統医療連合会議、2000年に日本統合医学会が設立され、2009年には日本における統合医療の認定医、認定師、認定士の検討もされている。中国や韓国では伝統医療を行う医師の専門教育も行われている。
 日本統合医療学会では相補・代替医療として次のような分類をしている。1)医療の実践における代替システム:中国医学、はり、自然療法、ホメオパシー医学など、2)食事・栄養・ライフスタイルの改善:食事療法、栄養補強剤、健康食品など、3)薬理学的・生理学的療法:抗酸化剤、細胞療法、代謝治療など、4)ハーブ医学:イチョウの葉、朝鮮人参、ニンニク、ショウガの根など、5)用手療法:指圧、マッサージ療法、カイロプラクティック医学、オステオパシー、タッチ療法など、6)生体磁気の応用:電磁場、電気刺激、磁気神経刺激、ブルー光治療など、7)心身のコントロール:精神療法、催眠療法、カウンセリング、瞑想、芸術療法、音楽療法、など。
 相補・代替医療には、EBMに欠けているものが多いことが指摘されていて、学術的アプローチとして次の3群に分類している。すなわちT群:従来の西洋医学のEBMの方法で解明できる分野:健康食品、ハーブ、鍼などの有効性、安全性。U群:計測、分析などに工夫を要するもの:健康栄養食品、ハーブなどの有効成分の分析、音楽療法、芸術療法など、V群:従来の科学的方法では解明の困難なもの:波動医学、祈祷療法など。
 さらに相補・代替医療の経済的効果に関しても注目され、医療費の高騰を解消するためにも、これらの医療を取り入れて統合医療に関心が向けられている。 
 医療の目的が身体的苦痛や精神的苦痛の緩和だけでなく、社会的あるいはスピリチュアルな苦痛までも軽減させることであるならば、相補・代替医療を取り入れる統合医療の考え方も必要であると考えられるが、世間には紛らわしい療法も宣伝されていて、これらを実施するのは誰で、それには資格が必要であるか、その実施者の教育はどのようにすべきか未解決な問題が多く、色々な立場からの意見交換及び法的整備が必要である。(SF


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(No131n;2009/12/11)


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