医療教育情報センター

No136 高齢者包括的ケア(PACE)

 日本で高齢者への介護支援は2000年に介護保険が導入されてから広く普及しているが、米国には国民全体を対象とした健康保険と同様に公的な介護保険はないので、それに代わる制度が試みられている。公的な医療保険としては65歳以上を対象としたメディケアと、低所得者を対象としたメディケイドがあり、介護が必要となった高齢者の入所するナーシングホームの費用の多くがメディケイドによって負担されている。
 民間の団体が高齢者に必要なケアを提供することを目的として創設されたPACE:Program of All-inclusive Care for the Elderly(高齢者のための包括的ケア・プログラム)は、サンフランシスコの中国人グループ「オン・ロック」が1973年から実施している高齢者サービス・プログラムであり、慢性疾患や心身の障害があって継続的な治療・療養を必要とするために在宅でのケアが困難で、施設や長期療養型医療機関への入所・入院が必要であると州政府によって認定された高齢者に対し、なお、在宅で療養生活を続けることを可能にさせるような包括的ケアを提供するプログラムで、現在ではメディケア、メディケイドの対象となっている。
 PACEはマネージドケアであり、55歳以上の人で、州政府が定めた介護施設入所の認定基準を満たし、PACEサービスを提供できる地域に居住していて、PACEへの参加が本人または第三者の健康や安全を脅かさないことが参加資格となっていて、高齢者に必要な種々のサービスが受けられる。その内容としてはプライマリケアー、入院医療、専門医医療、処方薬、ナーシングホーム、救急医療、ホームケア、PT、OT、デイサービス、給食、歯科治療、栄養相談・指導、社会サービス、検査、X線検査、搬送などがあり、ヘルスケア専門職チームにより必要なものが判定され、提供される。医療は医師により、その他のサービスはケース・マネージャーによって判断される。施設(デイケアセンター)に常駐のプライマリケアー医が診断・治療にあたる総合外来クリニックの他に、循環器内科、眼科、整形外科、歯科の専門クリニック、薬剤師、管理栄養士がいて、PT、OTによるリハビリも行い、さらに専門的な医療が必要な場合には病院へ紹介し、入院した場合はかかりつけ医或いは看護師が病院を定期的に訪問して状態をチェックするようになっている。デイケアセンターへの搬送や緊急事態には救急搬送(米国では救急搬送は有料でかなり高額)も行って、介護が必要になった高齢者が可能な限り自宅で過ごせることを目標としている。(SF


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(No136n;2010/03/19)


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