医療教育情報センター

No138 チーム医療の推進と「特定看護師」

 厚生労働省は平成21年8月、「チーム医療の推進に関する検討会(座長:永井良三,東京大学大学院医学研究科教授)」を発足させた。検討会では日本の実情に即した医師と看護師等との協働・連携の在り方等について関係者からのヒアリングを行って検討を重ね、平成22年3月19日、従来の看護師より高度な医療行為を行える「特定看護師(仮称)」制度の創設を盛り込んだ報告書をまとめた。
 看護師は医療現場において、保健師助産師看護師法第5条に定められている「診療の補助」と「患者の療養生活の支援」の業務を担っている。さらに医師の指示がある場合には看護師の業務である「診療の補助」として医行為を行うことができるとされている(保健師助産師看護師法第37条)。しかし個々の医行為が「診療の補助」の範囲に含まれるか否かについては、明確に規定はされていない。これらに対して厚生労働省は、折々の状況に応じて「診療の補助」の範囲に関する見解を明らかにしてきた。平成14年には静脈注射、平成19年に薬剤の投与量の調節が「診療の補助」の範囲に含まれることが示されたが, それ以外の医行為についても「診療の補助」の範囲かどうかについては不明確なものが多いのが現状である。これらの対応策として検討会では、一般的には「診療の補助」に含まれないと理解されてきた一定の医行為(以下,特定の医行為という)を医師の指示を受けて実施できる新たな枠組みとして「特定看護師(仮称)」の創設を提言した。
 検討会では特定の医行為として、医師の指示を前提にいくつかの行為例を示している。たとえばがん患者さんが自宅で療養する場合、疼痛、発熱、脱水、便秘、食欲不振、不眠などの症状で苦しまれることが多い。このような患者さんに対して看護師が全身状態を把握した上で、必要な薬剤を使用したり、変更することができれば、すみやかに対症療法(苦痛への対処)が可能となり、患者さんのQOLの向上に寄与でき、在宅療養の維持に資することになると述べている。その他、創部の切開や縫合等の創傷処置、気管内挿管、救急外来患者の重症度の判断などを例示している。認定の要件として、看護師として一定の経験を有し、専門のカリキュラムを持つ大学院修士課程を修了し、第三者機関による認定を受けること、一定期間ごとに能力の評価を受けること、の4点を挙げている。
 なお報告書では一部の委員から特定看護師の導入について、強い懸念が表明されたことも明記されている。日本看護協会では「特定看護師」の創設を支持、法制化を要望した(日本看護協会ニュースvol.513)。今後は,現在大学院修士課程で行われている「専門看護師」や、あらたに養成が始まった「ナースプラクティショナー」との業務や養成の在り方について、統合的な見直しや検討も必要であろう。(EN


特定看護師 診療の補助 対症療法 QOL 専門看護師  
(No138n;2010/04/19)


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