医療教育情報センター

No139 CT診断の外国委託の危うさ

 「CT診断中国下請け」というショッキングな記事が平成22年4月6日付読売新聞夕刊に掲載された。それによるとわが国の診療所や病院で撮ったCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)の画像を中国に送り、中国人医師に診断を委託し、その結果を中国語から日本語に翻訳して依頼した医療機関に返信されるというのである。中国人医師に委託する料金は、日本の4分の1で済むという。
 報道によれば、日本のある組織がこの事業を行っており、実態は月約800件を中国側に依頼し、請け負う中国人医師は約15人いるという。日本の医師免許を持たない中国人医師が、日本人患者の画像診断をするということの医師法上の問題もさることながら、CT,MRIを解読するという臨床能力が、これら中国人医師にどの程度あるのか、その診断能力は定かでない。こうした画像の結果で、もし「がん」か否かが論じられるとすれば、肌寒い思いである。こうしたことが起こることをわが国の医師不足のせいにしてはいけない。
 わが国では現在、専門医制度の確立に向けて、各学会が努力しているが、この問題について日本医学放射線学会では、診断の質や個人情報の安全が保証されかねないと懸念を表明している。
 わが国のCT,MRIは、先進国中最も普及しており、約1万7000台が医療機関に設置されているという。一方、その画像を読む専門医は約5,000名である。そのため日本国内で撮った画像を放射線科専門医のいる施設に送って、診断結果を報告書の形で返信してもらうという遠隔画像診断は日常化している。このように日本国内で撮ったCT,MRI画像は国内の放射線科専門医によって診断されることが、医学的に妥当な方法なのである。 (NH


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(No139n;2010/05/01)


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