医療教育情報センター

No147 成年後見法(英国)

 社会福祉や医療に関する自己決定権に関して英国では2005年に成年後見法(Mental Capacity Act 2005)が制定され、2007年10月1日より施行されている。日本の成年後見に関する法律では、主として財産管理に関することが規定されていて、医療の現場で自己決定のできなくなった人の終末期にどのような医療を選択するかなど生命に係わる医療・福祉の決定に関しては定められていない。
 英国の成年後見法の基本5原則は@意思決定能力は、否定されない限り、存在すると推定する、A自己決定ができるよう可能なかぎりサポートする、B非合理的な決定をする自由を有する、C受益者の最大限の利益にかなう決定をおこなう、D受益者の権利や自由の制約が最小限にとどまる方法を選択するとなっている。
 この法律の制定を受けてRoyal College of Physiciansは2009年2月に国民ガイドラインとしてAdvance care planning(事前ケアプラン)を公表している。この中では事前に拒否をする治療に関しての取り決め、判断能力、医療者と患者とのコミュニケーション、義務、個人の福祉を担う委任権、裁判所の指定する代理人などについてのガイドラインを示している。さらに事前ケアプランの作成に際しての秘訣として具体的にどのようにすればよいかを示し、たとえば話し合いは一回だけではなく、何回も、ゆっくりと、穏やかにして、時間が鍵となる。また、誠実に、共感を持って係わり合い、分かりやすい言葉を使うことなどを挙げている。
 勧告として、A).何時、誰と事前ケアプランについての話し合いを考えるべきか。B).討議内容。C).事前ケアプランを実施するか。D).進行性認知障害を持つ人。E).事前ケアプランの研修と実施の勧告に関して項目に分けて、具体的な提案が示されている。
 超高齢社会となった日本では今後、ますます高齢者が多くなり、特に85歳以上の高齢者で認知症の有病率は23%といわれ、自分で自分の意思決定ができなくなっている場合、医療の現場でどのような治療の選択をするか決断をせまられ、誰が意思決定をするか問題となる。特に慢性疾患をかかえている高齢者が終末期にどのような医療を選ぶか、担当医あるいはかかりつけ医は患者本人あるいは家族と話し合ってあらかじめ事前ケアプランを立てておくことが必要になる。 (SF


自己決定権 事前ケアプラン 成年後見人 代理人 認知症
(No147n;2010/10/04)


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