医療教育情報センター

No148 医師不足

 厚生労働省が初めて、全国の全病院と分娩を取り扱う診療所の計1万施設を対象に、必要医師数の実態調査を行い、その結果を平成22年9月末に公表した。回答85%で、約17万人が勤務しており、約1万8千人の求人分が足りないとの結果だった。勤務数と求人数を足して勤務数で割って必要な医師数の倍率を出した。その結果、今の1.11倍の医師数が必要だった。求人していないが、病院側が必要としている数を加えた必要医師数は約2万4千人で、医学部を卒業し病院で2年間の臨床研修をしている約1万5千人を除いている。
 地方と都市部、診療科別での違いも判明した。必要医師数倍率で医師不足の度合いが大きかったのは島根(1.24)、岩手(1.23)、青森(1.22)の順で地方に目立った。一方、都市部は東京(1.05)、福岡(1.07)、埼玉、神奈川、大阪(1.08)と低い。診療科別にみると、リハビリ科(1.29)や救急科(1.28)などで人員不足が目立った。
 6月、文部科学省の鈴木寛副大臣は「(医学部新設が)検討の対象になっている」と言及した。全国医学部長病院長会議は「指導者として現場から多くの勤務医を連れ去ることになる。地域医療が崩壊する」と反発し、日本医師会も反対を表明している。財務省の櫻井充副大臣は10月9日の全国医療法人経営セミナーで、「医学部新設はしない。Medical school構想は学士入学を増やせばよい」と明言した。
 専門分野の偏りに関しては、日本専門医制評価・認定機構の池田康夫理事長は「専門医になるプログラムを認定し、研修病院や定員数を決めれば、何年後にどのくらいの専門医が生まれるか分かる」と述べている。
 私案を述べさせてもらう。膨大な予算がかかり将来は無駄になる医科大学・医学部の新設は避け、米国のように専門医へのプログラムを選択する人数と全国の専門医プログラム定員数合計がほぼ同じにマッチングするようにすると、必要な診療科の医師が生まれるようになる。ここでいう専門医には家庭医も含まれる。地域格差の解消は奨学金制度を医学部で拡充し、専門医プログラムの時期まで広げ、地域での勤務義務を果たすことで、志のある力のある誰でもが親の経済力と関係なく医師、専門医になれるような方策が望まれる。(SS


医師不足 地域格差 診療科格差 医学部長病院長会議 専門医制評価・認定機構
(No148n;2010/10/15)


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