医療教育情報センター

No155 在宅医療と訪問看護

 がん患者数は年々増加している。それに伴いがんによる死亡者も平成20年には前年に比べ60,495人増加し、34万2,963人となっている。しかし急性期病院では、長期入院はかなわず、ホスピス病棟の不足する中、がん患者への在宅医療・訪問看護の需要が高まっている。がん患者中には、住み慣れた地域、自宅でできるだけ家族とともに生活を続けながら療養し、穏やかな死を迎えたいと思う人も多い。
 終末期医療の調査(厚生労働省「終末期医療に関する調査」平成10年)では、 57.7%の方が住み慣れた家で療養したいと考え、そのうちの9%は家族に看取られながら、家で最期の時をむかえたいと希望していることが明らかになった。平成20年の調査では、自宅で療養を希望する人は63.3%と増加し、家で最期を迎えたい人は、そのうちの10.9%であった。しかし、最期まで自宅療養できると思っている人は、全体の6%、また66%の人が自宅で最後までの療養は困難であると感じていることが明らかになった。その主な理由の第1位は介護にあたる家族の負担が大きいこと、次いで急変時の対応に不安、経済的負担が大きいことが明らかになった。
 厚生労働省は在宅医療の推進にあたって平成12年の介護保険を導入した際、在宅ケア、サービス分野を整備した。また平成18年に医療法を改正し、急性期病院、回復期・慢性期病院、診療所などの医療機関の連携を強化するとともに、在宅医療支援診療所制度を導入し、24時間365日の在宅医療支援体制が開始された。このような背景の中で、地域の中核的機能を有する診療所と訪問看護ステーションの連携は、大変重要な役割を果たすこととなった。
 訪問看護は病院の継続看護(保健医療制度に基づく)として1965年代に開始された。平成4年(1992年)には、老人保健法改正により老人訪問看護制度が創設された。この制度は看護者が管理者となって常勤看護師2.5名以上の体制で、独自に訪問看護事業所(ステーション)を開設することを可能とした。平成12年の介護保険法の施行に伴い、訪問看護は居宅サービスの1つとして位置づけられ、在宅の要介護者に訪問看護を行うこととなった。
 訪問看護ステーションは全国で5,434か所ある(平成20年)。約2万8千人の看護職員が約23万7千人の利用者に訪問看護を提供している(保健・衛生業務報告)。訪問看護ステーションの充実・普及を図るために人材の育成が進められている。看護教育では、平成21年から「在宅看護」「在宅看護実習」がカリキュラムに加えられた。
 現在、訪問看護は医療保険でも、介護保険でも利用できる。どちらもかかりつけの医師の「指示書」が必要となる。医療保険で訪問看護を利用する場合には、赤ちゃんからお年寄りまで、年齢に関わりなく利用できる。利用する際には、かかりつけの医師に相談する。訪問看護ステーションでは、「訪問看護指示書」に従い、必要なサービスを提供する。介護保険で訪問看護を利用する場合、要支援、要介護認定が必要である。該当した方は、ケアマネージャーに相談し、居宅サービス計画に訪問看護を組み入れてもらう。
 訪問看護ステーションのサービス内容は、身体の清拭や、入浴介助、食事や排泄などの介助・指導、病状の観察、医療機器の管理、医師の指示による医療処置、ターミナルケア、家族への介護支援・相談などである。近年、小児の利用者も少しずつ増えており、訪問看護師は質の高いサービスが提供出来るように、医学や看護学の知識・技術の研鑽に努めている。(EN


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(No155n;2011/01/28)


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