医療教育情報センター

No158 痛風って何?

 痛風は風が吹いても痛いと言う。私は罹ったことがあるので、発作時の痛さを実感している。発作は英語ではattack(攻撃)と言う。突然激痛に攻撃される。普段は何ともないので、病気であるとの実感がない(潜在性)。痛風の病変は関節や腱に起こる。特に足の母趾に多い。
 痛風は代謝病である。血液の尿酸の標準値は血清1デシリットル中4.0〜7.0ミリグラム(mg/dl)である。以前は臨床検査値を正常値と表現していたが、個々人によってそれぞれの正常値があり、正常値という語は使わないようになった。健康と判断された多くの人々を調べて得られた値の或る幅を標準値と呼ぼうと今ではなっている。
 私の初回発作時の尿酸値は標準値上限の少し下だったので、昔ならば正常値範囲内ということになる。発作発生は尿酸値とは平行しないこともある。整形外科の教授から結晶誘導性関節炎(crystal-induced arthritis)という学術用語があることを教えられた。痛風は尿酸代謝の異常があって尿酸塩(結晶化する)が関節嚢や腱鞘に沈着し、更にその上に精神的ストレスが加わると発作が突然起きると教えられた。痛風は血中の尿酸値が異常に高い人に起き易いが、標準値の範囲内であっても関節や腱に病変が生じ、同様な症状を起こすことがある。
 尿酸は細胞の核酸であるプリン体の代謝産物で、老廃物である。肉類を多く摂取する人に多いので、贅沢病とか王様の病気とか言われた。その他に自分の組織の核蛋白が崩壊しても生成される。尿酸は老廃物だから、多くは尿の中に排泄される。理論的には、@尿酸の産生過剰、A尿酸の排泄低下、そしてB両方の混合型に分けられる。尿酸塩(結晶化する)が関節や腱に蓄積し、更に組織の反応が起こり、それが塊となるとこれを痛風結節と呼ぶ。
 発作で痛みが起こるだけではなく、長期間にわたって血液の尿酸値が高いまま持続すると、二次的合併症が起こる。動脈硬化がおき易い、尿路結石ができる(腎臓、尿管、膀胱)、腎機能不全になる(例えば、尿管に結石ができると腎臓から膀胱へ流れる尿が流れなくなると腎臓の実質は萎縮する。腎臓が萎縮すると血圧が高くなる。高血圧が続くと動脈硬化を助長し、腎臓は更に萎縮し悪循環となる。結石で尿が流れ難くなると、腎盂(尿が溜まる一種の袋)が拡張して水腎症となり、更に細菌が逆流すると腎盂腎炎を起こす。挙句の果てに腎機能不全となる)などの慢性病が続発する。
 発作時には強力な鎮痛消炎薬が使われる。高尿酸血症があれば、上記の合併症を防ぐために、尿酸排泄促進薬或いは尿酸生成阻害薬が使用される。(IS (参考)藤森 新:痛風発作を起こす前に−尿酸値が高いと言われたら− 日医ニュース 332号2011/1/20


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(No158n;2011/03/11)


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