医療教育情報センター

No163 介護予防

 人は年を取ると共に衰え、自立できなくて介護を必要とする人が多くなる。そのための社会的制度として2000年に介護保険が導入されたが、65歳以上の高齢者が総人口の21%を超える超高齢社会となった日本では、今後ますます介護を必要とする人が多くなることが予測される。2006年の介護保険の改正では介護予防に重点を置き、地域包括支援センターを設置することになった。
介護予防とは「要介護状態の発生をできる限り防ぐ(遅らせる)こと、そして要介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこと」と定義されている。そして単に高齢者の運動機能や栄養状態など個々の要素の改善だけを目指すものではない。心身機能の改善や環境調整を通じて、個々の高齢者の生活行為や参加の向上をもたらし、それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取り組みを支援して、生活の質(QOL)の向上をめざすものである。これにより、国民の健康寿命をできる限りのばすとともに、真に喜ぶに値する長寿社会を創生することをめざしている。
 厚労省の出している介護予防普及啓発パンフレットでは地域の高齢者に対して次のような項目にあたる人は「地域包括支援センター」に相談するように呼びかけている。
 ・外出が面倒になってきた、・日用品の買い物をしなくなった、・階段を昇るのに手すりや壁につかまる、・歩くことが少なくなった、・半年前に比べて硬いものが食べにくい、・お茶や汁物などでむせることが多い、・体重が減少してきた、・近所付き合いが減ってきた、・気分が落ち込み、楽しめない。
 地域包括支援センターでは、保健師、ケアマネジャー(介護支援専門員)、社会福祉士が中心になって、さまざまな専門家や専門機関と連携しながら、いつまでも元気に楽しく、住み慣れた地域で生活できるように援助することを目指している。生活機能評価は基本チェックリストにより生活機能低下の可能性を把握し、生活機能をチェックして総合的に判断し、要介護・要支援状態になるリスクの高い高齢者(特定高齢者)を確定する。その該当者には説明と承諾に基づいて介護予防ケアマネジメントが行われる。
 介護事業所で介護予防事業を行うことになるが、どのような介護予防事業を行うかは事業所によりいろいろ工夫がなされている。いろいろな器具を用いた筋力トレーニングも適切に行えば高齢者にも効果が認められている。太極拳や独自の体操を工夫している自治体もある。介護予防はどのような方法を用いるにせよ、一定の効果が得られ、介護を必要とする状態を防止する事が可能であるが、地域の個人の判断によるかあるいは地域の自治体から積極的に行動するか、それぞれの地域の特殊性があるが、何を行うかに関わらず継続する事が大切である。 
 事業終了後にその結果を地域包括支援センターへ報告するとセンター事業の効果を評価し、その結果に基づき、介護予防ケアプランの見直しが行われることになっている。(SF


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(No163n;2011/07/15)


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