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No166 最近注目のレビー小体型認知症

 高齢者人口の増加に伴い、認知症患者は増え続けている。2005年には169万人であった患者数は、2015年には250万人に達するといわれている。いつ自分や家族が罹るかもしれないと思っている人は多いだろう。
 一言で認知症と言っても、その原因によって幾つかの種類があり、最も多いのはアルツハイマー型認知症で、認知症の50−60%を占めている。アルツハイマー型以外の認知症を非アルハイマー型と呼び、その中にはレビー小体型認知症や前頭側頭葉変性症を代表とする脳の変性症と、血管性認知症や正常圧水頭症などの非変性性の認知症などがある。このうち血管性認知症は、脳血管障害(多くは多発性脳梗塞)に関連した認知症を総称したものであり、わが国では老年性認知症の約30−40%を占める。
 最近、問題となっている認知症にレビー小体認知症がある。この病気は1995年の国際学会で初めて報告され、翌年の「Neurology」という学術専門誌に掲載されて以来、知られるようになった比較的新しい病気である。進行する認知障害、幻視、妄想、パーキンソン症状、睡眠障害、自律神経症状など、多彩な症状を呈するため、病気の初期はうつ病、パーキンソン病、統合失調症などと誤診されることが多い。
 とくに記憶障害の変動はこの病気の特徴とされ、一日の中での変動もあれば、日によって異なることもある。従って家族は非常に調子の良い日を見ていると、普通の人と変わらないと思って放置してしまうことがある。幻視、妄想も具体性を帯び、「布団の中に女がいる。夫が連れ込んだ」、「この家に誰かが住んでいる」という「同居人妄想」などが特徴とされている。
 病理学的には大脳や脳幹部にレビー小体という物質が沈着して神経細胞が脱落する。この物質はα−シヌクレインを構成成分としている。最近の調査では全認知症患者解剖例の約20%を占めると言われ、アルツハイマー型認知症に次いで多い。
 現在のところ、レビー小体型認知症に対する薬物療法はまだ確立されていないが、認知症治療薬としてのドネペジル(商品名アリセプト)、パーキンソン病治療薬としてのペルゴリド(商品名ペルマックス)などが組み合わされて使われるが、専門医を受診して治療を受けることをすすめる。本症は薬物過敏症があるので、これら治療薬を使う場合にも少量から始めるのが鉄則とされている。

NH) (No166n;2011/08/26)


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