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No169 死因究明制度

 死因究明は最期の医療とも言われ、医学会や法曹界から注目されるようになり、国会でも検討されている。最近国会議員グループによる「死因究明制度の問題点と解決策―死因究明推進法から制度改革にむかって」と題する論文が医学雑誌(日本医事新報2011:No4554: 24-31)に掲載された。
 人の死亡原因は死亡診断書では病死および自然死と外因死と不詳の死に大きく分けられ、病死・自然死以外は異常死として、医師は診断してから24時間以内に警察に届出なければならないことになっている(医師法21条)
 医療行為に関係した死、例えば薬の投与に関連した死、手術後の死亡を異常死とするかどうか医学界の中でも法医学と臨床医学では意見の相違がある。法医学の立場からは「異常死とは臨床医が診療経過中に確実に診断出来なかった死であり、公的機関に届出て解剖等により死因を究明すべき死」であるとされている。
 日常診療において患者の死は避けられないものであり、診療行為に関連して発生したものであればその死因の究明が大切である。通常病院で患者が死亡した場合は遺族の同意を得て病理解剖をしてその死因を解明し、その後の診療の参考にして診療行為の改善につなげるようしている。予測しない死とか手術後の死亡は医療過誤ではないかと疑われることもあり、場合によっては当事者以外の第三者による死因究明が求められる。
 日本で年間の死亡者は119万4000人(2010年)で、その内異常死は17万1025人(2010年)であり、中には犯罪に関わる事例もある。その内司法解剖は8014件(約4.7%)、行政解剖は11069件(約6.4%)に行われ、合計でも解剖された事例は約11.2%でしかなく、国際的な水準である50%を大きく下回っている。
 都立広尾病院事件や福島県立大野病院事件の診療関連死に関して、厚労省は2005年に「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を行い、「医療安全調査委員会」から試案が出されているが、確定したものではない。
 そこで冒頭の論文では国会に「死因究明推進法案」を提出し、2年以内に法律と医学の各分野の専門家を集めてどのような制度を作るか検討することを述べているが、内容には多くに問題点を含んでいる。診療関連死の解明を含め、死因究明制度を構築するために早急に診療に携わる医師も交えて検討する必要があると思う。(SF


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(No169n;2011/10/21)


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