医療教育情報センター

No171 肺炎をワクチンで予防する

 肺炎は日本人の死亡原因の第4位である。しかも肺炎による死亡者数の約 95%は65歳以上の高齢者である。高齢者社会となったわが国では、がん、心臓病、脳卒中などに注意する情報は行き届いているが、感染症、とくに肺炎よる死亡にも高齢者は注意しなければならない。
 高齢者は免疫機能が低下し、風邪をひき易く、感染に対する抵抗力が弱い。また最近は抗生物質に抵抗する細菌が出現して来ており、肺炎を起こす病原菌も抗生物質に耐性となっている。肺炎で一番多い病原菌は肺炎球菌である。
 肺炎球菌は連鎖球菌群として共通した性質をもつが、健康者では口腔・鼻腔の常在菌であり、これが下気道に吸引されて肺炎が起こるとされている。
 発症は急激で、高熱、咳、痰、胸痛、呼吸困難などの症状を起こす。治療は従来よりペニシリン系抗菌薬が第一選択薬であったが、近年、ペニシリンに耐性をもつ肺炎球菌が増加し、問題となっている。
 肺炎球菌感染症の予防にはワクチンによる対策が重要な役割を演じている。わが国では1988年にPPV(肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)が実用化され、年間1〜2万人が接種するようになったが、2002年以降は65歳以上の高齢者への予防接種が普及して、年間約15万人の人が接種するようになった。最近はマスメデイアで取り上げられる機会が増えたこともあり、ワクチン接種者はさらに増えている。
 PPVの接種は肺炎球菌による感染症の予防が目的であるが、特別な病気を持った人は別として一般には、高齢者に対して行うことが望まれる。ただし予防のための接種は保険が効かず自費となるが、多くの地方自治体では公費助成を行っている。
 PPVの予防効果は実証済みであり、肺炎による死亡者数は明らかに減少すると報告されている。PPV接種してから免疫(抗体)が出来るまで約3週間を要するが、1回の接種で5年は免疫が持続する。インフルエンザワクチンと併用すると、肺炎による入院回数を50%減少させたという報告もある。
  PPVの特徴を以下に記す。
 (1)肺炎球菌による肺炎を防ぐ。
 (2)1回の接種で5年有効である。
 (3)インフルエンザワクチンとの併用効果がある。
 (4)年間いつでも接種可能である。
 (5)重篤な副作用はなく、注射部位の発赤、疼痛程度である。 (NH


高齢者 肺炎 予防注射 肺炎球菌ワクチン インフルエンザワクチン
(No171n;2011/12/02)


医療ニュース・バックナンバー