医療教育情報センター

No174 尊厳死法

 平成22年12月8日尊厳死法制化を考える議員連盟は「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案(仮称)」をまとめた事が新聞に報じられた。これは平成21年12月7日最高裁判所の川崎協立病院の延命措置に関連する医師の行為に対する判決があり、富山射水市民病院での人工呼吸器取り外し事件など終末期医療を巡る医療のあり方が世間の注目をあびるようになったことへの対応とも考えられる。
 法律案の骨子では終末期を「全ての適切な治療を受けた場合であっても患者の回復の可能性がなく、かつ、死期が間近であると判定された状態」、延命措置は「傷病の治癒ではなく生存期間の延長を目的とする医療上の措置」とし、栄養補給や水分補給を含めている。
 「がん」以外の慢性疾患の末期、特に高齢者の末期における予後判定は非常に難しい。医師会あるいは専門医学会が慢性疾患の末期症状の判定基準やガイドラインのようなものを公表して、一般市民も含めて議論する必要があると考える。患者本人や家族の中には末期状態になっても病院へ行けばなんとかなるのではないかという期待を持っていることもある。さらに終末期の判定に担当医以外の知識や経験を有する医師2人以上が判定する事を求めているが、病院医療の現場で主治医以外に2人以上の医師に、患者の終末期の判定を求めるのは困難であり、特に病院以外の老人施設や、在宅の患者の末期について主治医の他に2人以上の医師に判定を求めるのは不可能に近い。
 法制化されるとそれに従わないものは法律違反になり、そのため病院以外の場所、特に老人施設などでの看取りを敬遠するようになるのではないかと危惧される。老人施設で認知症の高齢者が末期に経口摂取ができなくなっても経管栄養や胃瘻造設を行わずに天寿を全うするのを介助することが延命放棄にならないように配慮した立法を希望する。(SF


尊厳死 延命措置 終末期医療 経管栄養 水分補給
(No173n;2012/02/03)


  医療ニュースバックナンバー