医療教育情報センター

No181 脳ドックの利用価値

 1988年に創められた日本独特の予防医学である「脳ドック」は、歴史が比較的浅く、この検査で発見される無症候性(症状の無い)病気の自然経過と対応に関するデータが次第に集められ、客観性が高まりつつあり、利用価値が増してきた。
 この検査の対象は、中・高齢者が望ましく、脳卒中の家族歴、高血圧、肥満、喫煙などの危険因子を有するハイリスク群は重点的に勧められる。
 この検査で整備すべき機器、設備は、高性能MR装置、高次脳機能検査のためのソフトと人材、血液生化学検査システム、心電図測定機器、脳ドック専用診療録、インフォーム・コンセント用の部屋、脳ドック受診者の専用控え室、超音波検査機器、などである。
 検査の項目としては、問診および診察、血液・尿・生化学検査、安静時標準12誘導心電図検査、その他胸部X線撮影、脳波、脳血流検査、ポジトロン断層撮影、心臓超音波検査、認知機能検査、頭部MRI検査、MRA検査、頚部血管超音波検査などである。
 この検査で発見される代表的な異常とその対策は以下に述べるとおりである。

 1)無症候性脳病変
無症候性脳梗塞、大脳白質病変は脳卒中の危険因子である。前者の数の増加を予防、症候性脳梗塞の予防には、高血圧の管理が有効である。
 2)無症候性頚部・脳主幹動脈狭窄・閉塞
禁煙・節酒、高血圧、高脂血症、糖尿病の危険因子の治療を行い、坑血小板療法、手術、ステント留置術などの適応を検討する。
 3)無症候性未破裂脳動脈瘤
余命が10〜15年以上、大きさ5〜7mm以上などの目安、部位、形態などから手術適応を検討する。
 4)無症候性脳動静脈奇形・海綿状血管腫・もやもや病
経過観察、手術、定位放射線治療、などの適応を検討する。
 5)無症候性脳腫瘍及び腫瘍性病変
経過観察、組識診断、定位敵放射線療法、摘出手術、などを検討する。

 脳ドックの説明指導は、脳の健康診断、疾病予防のリスクマネージメント、画像検査の精度には限界がある、症候性病変とは対処方法が異なる、専門医による説明指導がある、診療録の保存と二次利用に了解を得る、セコンドオピニオンへの情報提供を行う、などがポイントである。
 報告書に取り込まれる内容は、受診者の基本情報、背景情報、危険因子、服薬情報、検査の日時、行われた検査項目の結果と所見、危険因子の重症度評価、危険因子の管理方法、脳および脳血管病変の追跡の必要性と追跡予定日の指定、治療介入の必要性、対処方法、説明指導の日時と担当医の署名、などである。(SS


脳の健康診断 危険因子の重症度評価 無症候性脳疾患 対処方法 予防
(No181n;2012/05/24)


医療ニュース・バックナンバー