医療教育情報センター

No191 QALY(質調整生存年)

 中央社会保険医療協議会の8月の費用対効果評価専門部会で、医薬品などの医療技術の保険収載の可否などの判断基準として導入を検討している「費用対効果評価」について、効果指標の検討を開始し、世界の多くの国で導入されている「質調整生存率(QALY)」に関して議論された。
 医療の効果は死亡を遅らせ生存年数を延ばすことと生存期間中の健康水準を向上することにより判定され、健康や生命の貨幣評価に対する抵抗や反論に対して、費用効果分析の手法として、費用QALY分析が用いられる。費用/効果分析は、費用/効果分析のうち効果指標に質調整生存年(Quality adjusted life year QALY)を用いたものをいう。  QALYは生存年と生活の質(QOL)を考慮した指標であり、完全な健康状態を1、死亡を0としたある病態のQOLを「効用値」として表わし、それに生存年を掛け合わせて算出する。例えば、半身不随の1年は通常の健康状態での半年に相当するために健康状態の効用を1とするが半身不随の状態は0.5である。実際に患者の身になって考えるには効用値を測定するためのQOL質問表(選好に基づく尺度preference based measure)が用いられる。
 効用値測定の方法として次の3つがある。
 1)基準的賭け(Standard Gamble):ある障害状態を回避するための治療法に、成功の確率がどの程度の場合に、その治療法を行なうかを訊ね、治療法を受け入れてよいと感じるときの、成功率の大きさにより、その障害状態の効用値を推定する。
 2)時間得失法(Time Trade Off):ある障害を持った期間の長さと、それよりも短い、全く健康な期間の長さを同価値と感じるときの、期間の長さの比率により、その障害状態の効用値を推定する。
 3)人間トレードオフ(Person Trade Off):ある障害を持った人々と、その人びとより人数が少ない全く健康な人々をどちらか一方のみ助ける選択をする立場になったとき、障害者の人数と全く健康な人の比率から、その障害状態の効用値を推定する。
 質調整生存年(QALY)は普遍的な健康アウトカムの尺度で、あらゆる人と疾患に対して適応可能であり、これを用いれば異なる疾患や異なるプログラム間における比較さえ可能となる。QALYは、単一の尺度の中で生命の量的側面(死亡)と質的側面(罹患)の双方の増減を組み合わせて表わすものである。
 費用QALY分析の目的は、有限な医療資源から得られるQALYを最大化することである 基本的に医療資源を含めて資源が有限である以上、資源を効率的に配分する事がむしろ倫理にかなったこととなる(SF


QALY 質調整生存率 効用値 費用対効果評価
(No191n;2012/11/23)


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