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No195 “ドクターG”の呼称は「総合診療医」

 NHKテレビでは2010年から12年にかけて、医療エンターテイメント「ドクターG」を3シリーズにわたって放映した。視聴者から大きな反響を呼び、教育テレビから総合テレビへ、時間帯も夜の10時台へと昇格した。番組はクイズ形式。総合診療に携わる医師「ドクターG(General)」が実際に診療した症例を基に再構成して出題。研修医がカンファレンスを経て診断に辿りつく過程を描いている。ややもすれば検査が先行する“専門診療”に対して、問診をたよりに診断するドクターGの総合力が評価されたともいえる。
 こうしたドクターGは、総合的に診療できる能力をそなえた“専門医”なのか。専門医とすれば、呼称や資格はどのようにすべきか。厚生労働省は2011年10月、「専門医の在り方に関する検討会」(座長:高久文麿・日本医学会会長)を設置して専門医制度について検討してきたが、昨年12月の会議で、19番目の基本領域の専門医として位置付ける総合的な診療能力を持つ医師を、「総合診療医」とし、その専門医を「総合診療専門医」と呼ぶ方針でほぼ意見が一致した。
 しかしながら、超高齢社会を迎えたわが国では、病気や臓器の専門医よりも、高齢者を丸ごと診ることができ、診療の場を地域とする医師が1日も早く、しかも多く求められている。その観点からすれば、現在、総合診療医の資格や養成制度が論議されている段階であり、“日暮れて道遠し”の感を拭えない。
 呼称や資格などの要件よりも、地域に飛び出し、住民と一緒に生活しながら、住民のあらゆる問題の相談に乗る。こうした患者や住民に軸足を置いているかどうかの「態度」が重要ではないだろうか。自分の得意でない領域については、実地診療や該当科に紹介することにより経験を積み、診療の範囲を広げていくのである。
 真に総合診療中心の地域医療を志しているかどうかは、在宅での看取りを実践しているかどうかで判断できる。言わば“踏み絵”になると私は考えている。そこでは老いや死を病気として治療するのではなく、患者に寄り添って看取ることだからである。
 このような医師は“絵に描いた餅”ではなく確実に見かける。国には、総合診療の必要性について国民の理解を求めると共に、現場で奮闘している「総合診療医」を制度面から支援することを期待したい。(TI


ドクターG 専門医 総合診療医 総合診療専門医 在宅での看取り
(No195n;2013/01/25)


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