医療教育情報センター

No199 健康食品「ノニ」による有害事象

 「ノニ」(NoNi)は東南アジア(インドネシア、ボルネオ島など)、太平洋諸島(タヒチなど)、オーストラリア、インドなどにある常緑樹で、別名、モリンダ(Morinda)、インンデイアン・マルベリー、和名は「八重山・青木」と呼ばれている。「ノニ」の木の実や葉を野菜として食べたり、根、種子などを食料欠乏時に食用として摂取する地域もある。薬用として民間伝承的にありとあらゆる病気に効くと言われており、そのためにポリネシアの人たちは「神からの贈り物」として重用しているという。「ノニ」は、マラリア、天然痘、がん、白内障、うつ病、関節炎、糖尿病、高血圧など、あらゆる病気に効くと言われてきたが、ヒトを対象とした有効性を証明した医学的データはない。
 健康食品としてジュースの形で販売されていることが多いが、フルーツジュースとして「ノニ」が含まれていることもある。「ノニ」は多量のカリウムを含んでいるので、腎臓病の患者には有害である。腎疾患患者がノニ・ジュースを飲んだ後、血中カリウムが高値となり腎不全を起こす可能性がある。また「ノニ」を飲んでいる人の肝機能検査値が上昇したという報告は、これまでにも少なからずある。
 最近、日本医師会「健康食品安全情報システム」に、「ノニ」の摂取による肝障害が2例報告され、注意を呼び掛けている。1例は62歳男性で、「八重山・青木」から抽出した「ノニ」を飲み、意識障害を伴った重篤な急性肝障害を来した。この患者は、普段から降圧薬(ACE阻害薬)、高脂血症治療薬(スタチン)、甲状腺製剤を服用しているので、「ノニ」との相互作用が関係していることが疑われる。一般に健康食品の摂取時に純粋の医薬品との併用は、副作用を起こすリスクが高くなることは、「ノニ」に限らない。「ノニ」では医薬品との相互作用として、他にワルファリン、利尿薬が挙げられる。ともに日常、汎用されている薬剤であるが、ワルファリンは抗血栓薬、抗凝固薬として、脳梗塞や心筋梗塞に使うが、ワルファリン服用後にノニ・ジュースを飲むと、抗凝固作用を阻害したり、ときに血栓を作り易くするという。また利尿薬のうちカリウム保持性利尿薬(アルダクトンA,トリテレン)を服用している高血圧の人が「ノニ」を摂取すると、血中カリウムが上昇する恐れがある。
 もう1例は70歳女性で、この方は他に併用薬は服用しておらず、「ノニ」摂取により急激な肝障害を来した。「ノニ」を中止したら、肝機能は回復したので、「ノニ」による肝障害が疑われ、今回の「ノニ」注意となった。 「ノニ」に対する医学的有効性を示すデータはなく、動物実験やin vitro(試験管内)試験の成績に留まっている。最近、米国NIHで無作為化比較試験(RCT)が開始されたと言うが、結果は現在のところ、公表されていない。
 当センターでは、第8回市民公開シンポジウム(平成22年6月)、第3回第4回健康相談セミナーで「サプリメントを考える」と題して健康食品の問題を取り上げた。その時にも、健康食品やサプリメントの摂り過ぎや、服用している医薬品との相互作用に注意すること、健康食品を摂ってから体に不調を感じたらすぐに「かかりつけ医」に相談すること、などをお話しした。しかし何よりも大切なことは、1日3食、バランスの採れた良い食事を摂っていれば、余程の例外を除いて、健康食品もサプリメントもあえて摂る必要はないことを重ねて強調したい。(NH


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(No199n;2013/04/19)


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