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末期がんと仕事と寿命―樹木希林さんらの生き方から考える
No005h (2018/11/15)
2018年度カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した映画「万引き家族」で祖母の役割を見事に演じた樹木希林さんが2018年9月、75歳で亡くなりました。初めて乳がんが発覚したのは、14年前の2004年、「全身がん」を告白したのは2013年3月のことでした。
 翌年、彼女は文藝春秋2014年5月号に「全身がん 自分を使い切って死にたい」と次のように独白しています。
 『ピンポイントの放射線治療で、体に影響する大きながんは消えている状態。「よくがんばっているね」と言われますが、特別、がんばっているという意識はないし、生活上で気をつけていることもありません。
 ひとり暮しで、家では毎日掃除をしています。古くなった靴下やシャツも掃除道具として利用して、最後まで使い切ります。人間もそれと同じ。十分生きて自分を使い切ったと思えることが、人間冥利に尽きるってことなんじゃないでしょうか。こういう感覚を持つようになったのも、病気になって、命に限りあるものだということを認識してからです。病というものを、ただ悪いものとして生きるなんて、つまらない。』

 数年前になりますが、末期がんを持ちながら、亡くなる直前まで映画で活躍していた俳優として思い出すのは、高倉健さん(83歳。前立腺がん・悪性リンパ腫で6年生存)と菅原文太さん(81歳。膀胱がんで7年生存)です。
 これらの方々ががんを受けとめることができたのは「病気を悪と決めつけない」価値観を持っていたからでしょう。治らないがんを治そうとせず、「どう生きるか」を考えて自分の仕事に命をかけたことが免疫力を高めることになり長く生きられたのではないでしょうか。
 折しも京大の本庶佑名誉教授が末期がんにも効く画期的な免疫療法剤(オブジーボ)を開発し、本年度医学生理部門のノーベル賞を受賞されました。新しく開発された「免疫チェックポイント阻害剤」は、免疫細胞の攻撃を受けたがん細胞が免疫細胞のブレーキを押すことで攻撃をやめさせて増殖するのを、ブレーキにカバーをして押せないようにすることによってがんに効くというものです。
 通常、がんに対する考え方は、早期発見・早期治療が第一。がんを持っては仕事ができない、長く生きられないというのが一般的です。しかし、免役力が低下する高齢者にもがんに対する免役力は残存しており、仕事という生きがいによって活性化することを、三人の生き方は教えてくれていると言えないでしょうか。 
TI
     末期がん | 樹木希林 | 高倉健 | 免疫チェックポイント阻害剤高齢者の免疫力
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