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高齢者の肺炎とかかりつけ医
No208n (2013/11/15)
 わが国の死亡統計によると、肺炎は十数年来死亡原因の第4位を占めてきたが、昨年、脳血管障害を抜いて第3位になった。肺炎の年齢別死亡率でみると65歳以上の高齢者が90%を占めており、高齢者の死亡原因にかぎると肺炎が第1位になる。
 よく知られているように、高齢者の肺炎は、発熱、咳、痰などの症状に乏しいか、あっても軽いことが多い。また、食思不振、全身倦怠感、意識障害など一見、肺炎と関係がない非定型的な症状で発症することもある。
 私は77歳であるが、今春、まさに食思不振と胸痛が先行する非定型的な肺炎に罹患した。幸い、最終的には適切な治療を受けて全快したが、帯状疱疹(ヘルペス)ではないかという私の思い込みから皮膚科を受診。地域の内科医で診断が確定するまでに10日間も要した。いきなり専門診療科を受診するよりも総合的に診るかかりつけ医を先ず受診すべきであることを実感した。
 私の体験は、高齢者が病気になったときの医療の活用の仕方について参考になるところがあると考え、次に紹介させていただきたい。私は今年の3月、機嫌良く大好きなゴルフができたが、翌日から急に食欲がなくなり、3日後から右側の腹部から背部にかけて帯状にズキンズキンとする激痛を認めるようになった。過去の体験からてっきりヘルペスだと思い込み安静で様子をみたが、4日間を経過してもヘルペス特有の発赤を伴った小水疱が出てこない。
 そこで以前勤めていた総合病院の皮膚科を受診すると抗ウイルス薬を処方され、念のため神経内科受診を指示された。2日後、痛みを抑えて神経内科を受診すると、精査にはMRIが必要だが、ガンの肋骨転移などは考えられないと診断された。
 発病10日後、空咳がでるようになり、ふと思いついて開業医のM内科医院を受診した。そこで初めて聴診器を胸に当てて診察され、胸部レントゲン写真を撮影。胸膜炎を併発した右肺の肺炎と診断された。
 その後の経過は順調で入院することなく、抗生剤の内服により胸痛と咳は軽快し、食欲が出てきた。治療7日後、肺のレントゲン写真で陰影は残っているが、肺炎は自力で治癒に向かっているとし、治療を終了し普段の生活に戻ることを許可された。主治医が検査成績よりも食欲の回復という患者の全身状態を重視する診療姿勢に私は感激した。
 今回の体験を通して大事だと感じたのは、高齢者は総合的に診療してもらえるかかりつけ医を持つ必要性があるということである。高齢者にとっては専門診療のドクターショッピングは得にならない。その意味で、かかりつけ医を診療の中心におく後期高齢者医療制度の価値を改めて見直すべきではないか。
TI
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