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PM2.5の健康影響
No217n (2014/03/21)
 古来、霞は春の兆候として喜びをもって詩歌にも詠われた。今は黄砂・花粉・PM2.5が混じった霞が人々を悩ませる。大気汚染は工業が発展した19世紀から頻発するようになり、わが国でも明治以来50年前の四日市喘息まで住民被害の時代が続いた。その後公害関係法令や技術革新により重大な汚染や健康被害は改善されたが、決して安心できる状態にあるとはいえない。最近、途上国の汚染の急増で改めて注目が高まると共に、環境対策もより微小な物質の抑制に変化してきた。
 PM2.5(微小粒子状物質)は、大気中に浮遊する大きさが概ね2.5μm(マイクロメートル、1μmは1ミリの千分の1)以下の固体あるいは液体の粒子状物質をいう。成分は地域や時期によって異なり、多くの有害物質を含む複雑な化合物である。主な発生源は、石炭や石油の燃焼ガスや煤煙、自動車排ガスなど人為的なもので、火山などの自然由来の粒子は少ない。
 大気中にはナノ単位(1ミリの百万分の1)の分子状物質からミリ単位の粉塵まで浮遊しているが,大気に長く浮遊するおよそ50μm以下の粒子状物質(以下、PM、particulate matter)が人の健康に悪影響をもたらす。中でも、およそ10μm以下のPM10やPM2.5は、呼吸により細気管支や肺胞に達して溶解するか沈着して傷害する。0.5μm 以下の超微粒子は肺胞から血液にも移行する。一方、気管支の内面には線毛上皮組織と貪食細胞によって沈着した異物や細菌を痰として除去する働きがあり、吸い込まれたPMの7,80%は除去される。また、PMは生物のみならず酸性雨となって湖水や建造物にも害を及ぼす。
 PM2.5は、活性酸素を生成して気道の異物の排除機能を低下させ、細菌への感受性を高め、炎症を起こし、気管狭さくや急性ひいては慢性の気管支炎の原因になる。血中に入ると血球、血管、心筋、などにまで悪影響を及ぼすといわれる。これらは、過去の特異な事件や職業曝露、疫学研究、動物実験などの結果の一部を例示したもので、すべてが短期間に普遍的に起こるという訳ではない。地形、気象条件、濃度、暴露期間、感受性・個人差など、多くの要素に左右され、条件が重なれば住民への何らかの悪影響が生じうる。慢性気管支炎、肺気腫、喘息、心疾患、高血圧などの有病者、高齢者や小児は感受性が高いとされているので特に注意したい。
 予防法は、(高感受性者は)濃度が高い日は屋外での活動や運動はなるべく控える、高品質のマスクを鼻翼と口に密着させて装着する、窓を開放しない、ウガイを励行する、ことを心掛けたい。空気清浄器もフィルターや除塵原理をよく理解して使用すべきである。 なおPM2.5の環境基準は、日本は1年平均値15μg/m3以下かつ1日平均値35μg/m3以下、米国が24時間平均35μg/m3、EUが年平均25μg/m3、等となっている。
IS
   微小粒子状物質 | PM2.5 | 呼吸器疾患高齢者 | 大気汚染
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