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臨床研修義務化10年目の評価
No220n (2014/05/30)
 2004年に医師法を改正して導入された新医師臨床研修制度は今年10年目を迎える。これまで研修は努力目標であり研修医はアルバイトで生計を立てていたが、新制度では研修が義務化され給与も保障されるようになった。以前は7割の研修医が大学病院で研修を受けていたが、自ら研修病院を選べるようになった。研修内容も以前は医学部を卒業後、将来専攻する診療科に籍を置き、直ちに専門診療の研修を開始していたが、新制度では、将来の専攻科にかかわらず、内科、救急、地域医療を必修にする基本的、総合的な診療能力を身に付けるカリキュラムが組まれた。
 今年、10年を経過したのを機会に日経メディカルは特集を組んだ。日経メディカルOnlineの医師会員に、臨床研修の義務化は成功だったのか、それとも失敗だったのか、アンケート調査を実施した結果、成功と失敗が相半ばした。アンケートで「成功」と答えた医師は「基本的な診療能力を幅広く身に付けられるようになった」が最も多く、次いで「研修医が多岐にわたる診療科を経験でき、専門診療科を選びやすくなった」、「研修医の処遇が改善した」が続いた。一方で、「失敗」と答えた医師の理由は、「医師の地域偏在が助長された」、「各科の指導が短期間となり、医師としての技術や責任感を伝えにくくなった」、「診療科偏在が助長された」だった。
 そもそも義務化の背景には、我が国は高齢社会を迎え、疾患の主体が生活習慣病となったことや患者の自己決定権の主張が強くなったことから、疾患中心の専門診療のみでは対応しきれなくなったことがある。したがって、到達目標の中で特に重要なのは、全人的、総合的な診療能力を身に付けることである。
 その観点からすると、近年、地域医療や総合診療を目指す研修医が増える傾向があり、今年発足した専門医認定機構が、複数の疾患を抱える高齢者を幅広く長期にわたって診療する「総合診療専門医」を新設し、総合診療の専門性を認めた意義は大きい。卑近な例として、検査が先行しがちな専門診療に対して、問診を重視する総合診療医が研修医とカンファレンスを通じて診断に到達するNHK総合テレビの番組「ドクターG」 が人気を呼び、現在5回目のシリーズが放映されている。こうした動きに臨床研修の義務化が果たした役割が大きいと考える。
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