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無反応覚醒症候群(unresponsive wakefulness syndrome、UWS)
No227n (2014/10/17)
 脳に重篤な損傷(外傷、出血など)を受けて昏睡状態になった患者は2〜4週間後に目は開けるが意思の疎通はみられない状態で長期間寝たきりとなる患者に対して1972年にJennet とPlumはpersistent vegetative state (PVS)(持続性植物状態)という名称で社会的関心を求めた。同年日本では日本脳神経外科学会が持続性植物状態の診断基準を公表し、当時増加しつつあった交通事故被害者家族の負担を軽減させるために付き添手当てが出るように政府に働きかけた。それまで同様な状態は無言性無動症、覚醒昏睡、失外套症候群、遷延性意識障害などと呼ばれていた。
 ヨーロッパでは年間に10万人につき0.5〜2人のPVS患者が入院していて、その原因の3分の一は頭部外傷で、残りは脳出血、脳腫瘍、心肺停止後、進行性神経変性疾患の末期であり、これらの患者に対する延命治療、経管栄養の継続の是非が倫理的問題となっている。米国では1975年にカレン・クインラン事件で重度意識障害患者への延命治療の中止が問題となり、1990年にはナンシー・クルーザン事件で植物状態患者への経管栄養の中止が、以前に本人の意思があれば可能であるとされた。2005年にはテリー・シャイボ事件では経管栄養の中止が夫と妻の両親の間で争われた。
 植物状態という名称は人格を無視した表現で適当ではないということから2010年にLaureysらによりunresponsive wakefulness syndrome(UWS)(無反応覚醒症候群)という名称が提案された。これは昏睡から覚醒はしているが、刺激に対して反応することができない状態を示している。
SF
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