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主治医力を磨くワークショップ
No230n (2014/12/05)
 「主治医」という言葉は、日常的によく用いられているが、その内容や役割が深く考えられることは少ない。広辞苑第六版によると、「主となってその患者の治療に当たる医師。かかりつけの医師」とあるが、その役割の一端を述べているにすぎない。
 周知のように、わが国は超高齢社会を迎え、医療のあり方を根本から見直す必要に迫られている。高齢者は複数の疾患を抱え、臓器や疾患の専門医に次々とかかるドクターショッピングを繰り返しても根本的な問題解決には至らない。患者の価値観や人生観を弁えながら、疾患の優先順位と治療の到達目標を一緒に考える、いわゆる“主治医”を必要とする所以である。
 筆者は、天理よろづ相談所病院において25年間にわたって臨床研修の教育責任者を務めた。その際、教育の柱として重視したのは、知識や技術よりも受持患者をあらゆる角度から診て診療方針を立て、症例カンファレンスでスタッフの意見を求めることであった。方略としては、一日に最低2回、病室を訪問し、座って患者の話を聴くことである。
 ちなみに、当院レジデント制度の卒業生約200人に対するアンケートを見ると,「レジデント時代に学んだこと」として,おおむね「態度」「丁寧な診察」「問題解決能力」に大別される回答が得られた。この考えと実践はその後も“主治医力”として脈々と受け継がれ、最近、ワークショップを通じて、院外にも普及の努力がなされている。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03034_03
 同院では、「主治医力を磨くワークショップ」を50名定員で公開公募し、これまでに2回、開催している。参加者は医学部学生から研修医、地域も全国にまたがっている。最近は、総合診療教育部のスタッフである東光久氏が研修医を伴って島根医大に赴き、ワークショップを開催した。氏は、「主治医になるための10の掟」として、次の10カ条を上げているが、含蓄に富む内容である。

 ・言葉を大切にする。 ・2.5人称の立場を理解し実践する。・真のEBMを実践。
・Face to FaceよりSide by Side。 ・患者のすべてを知る努力をする。
・DoingよりBeing。 ・高齢患者に感謝を ・最後は自分の良心に従う。
・Be Assertive! ・一生感動、感謝、勉強。

 後期高齢者医療のキーマンとなる「主治医」について厚労省は、複数の病気を併発したり長期化しやすい高齢者の特性から、患者の心身を総合的に把握する一人の医師とする考えである。今こそ、医師は高齢者のニーズに沿った幅広い診療を実践できる「主治医力」が求められているといえる。

TI
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