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腎臓の働き
No231n (2014/12/12)
(本稿は先に掲載された「新しい診療理念」No118r(2014/11/14)「CKD慢性腎臓病」の理解のために書かれたものである。)
 腎臓は左右2個あり、お腹の背中側、脊柱の両側に付いている。腎動脈は大動脈から直接分岐しており、腎門から腎臓内に入り、枝分かれをして、濾過装置である糸球体の毛細血管となる。糸球体毛細血管は毛糸玉の様にとぐろを巻いている。そこで血液の液体成分が濾過され原尿となる。原尿はBowman嚢へ行き、尿細管へと流れる。即ち、血液の液体成分(血清)は毛細血管壁−基底膜−Bowman嚢上皮を通過して原尿となる。血液中の大きな粒子は通過しない(サイズの関所)が、病変が起こるとサイズが大きくても、ここを通過する。電気は陰性(陽性)同志では反発し合うが、異常な蛋白が出来て基底膜と異なる荷電を帯びると互いに引き合って、基底膜に沈着する(荷電関所の破壊)。関所破りが起こると蛋白尿が生じる。別の血管は尿細管を囲む毛細血管となり尿細管を流れる原尿から水分・無機物質などを、脳下垂体後葉から分泌される抗利尿ホルモンの影響を受けながら、再吸収して血液へ戻る。その後は細い静脈から腎静脈、更に下大静脈から心臓の右房へと血液は流れる。糸球体で濾過された原尿は尿細管で多くの水と無機物(塩類)などは再吸収され、老廃物を含む濃い尿となって、腎盂−尿管−膀胱−尿道を通って排泄される。
 臨床検査でこの糸球体の濾過値を測ることができる。1分間の全糸球体の濾過値は成人健康者で約100ml/分である。1日は24時間、1時間は60分なので、糸球体で濾過される原尿の1日量は60(分)x24(時間)x100mで、計算上は1日に144,000ml(おおよそ15万ml)という極めて多量なものとなる。実際には1日の尿量は1200ml〜1500ml位なので、原尿の大部分は尿細管で再吸収される。濃度が極めて薄いものでないと有害な代謝産物、例えば尿素窒素、を体外に排泄できない。有害物質が異常に溜まると脳を障害する。その状態を尿毒症と呼んでいる。ナトリウムやカリウムなどの無機物質も再吸収される。熱中症の時に水だけを補給せず、ミネラルも必要であるという理由である。
 この糸球体濾過値は一般的には60ml以下になると要注意で、高齢者では健康であっても5割近く減少する。血圧を下げるとか、血液の凝固機能を下げるとか、等の対策が必要となる。
 腎臓は、まるで精密工場の如し、である。血液を濾過して綺麗にするのが役目だが、しかし、それは腎臓への血流の影響を受ける。糸球体への毛細血管の出入り口(血管極と呼ぶ)付近には傍糸球体装置があり、そこの細胞はレニンReninと名づけられた物質(RENとは腎臓のこと)を分泌する。Reninそれ自体には血圧上昇作用はないが、副腎を刺激してangiotensinogen (angio- は血管、tenseは緊張、-genは源のこと)を分泌させ、血圧を上昇させる。糸球体の濾過作用を低下させないために、糸球体の出入り口での血圧低下を監視している。昔、Goldblatt博士は犬の片方の腎動脈を結紮して腎臓の血流量を減少させ、高血圧犬を創った。これが腎臓には何らかの昇圧物資があると分かった切っ掛けとなった。
IS
(註)腎機能を調べる臨床検査指標
血液中の尿素窒素:尿素は蛋白代謝の最終産物。食物や体内の蛋白質が分解されて産
  生されるアンモニアを解毒するために肝臓で生成され、尿中に排泄される。
クレアチン:肝臓で合成され、血中に出て、筋肉特に骨格筋や脳に取り込まれ、細胞中で
  はクレアチン燐酸となり、エネルギー源となる。クレアチンの大部分は再利用されるの
  で、健康な成人の尿中には排泄されない。しかし筋肉疾患では尿中に出てくる。
クレアチニン:クレアチン燐酸の分解最終産物。筋肉内でつくられ、尿中に排泄される。糸
  球体濾過値GFRの臨床検査に用いられる。  血清中の標準値:男性0,65〜1,09
  女性0,46〜0,82
糸球体濾過値GFR(Glomerular Filtration Rate,ml/min):1分間に全糸球体で濾過
  される水分量
     腎臓 | 腎糸球体 | 尿細管 | 糸球体濾過値 | レニン
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