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介護報酬マイナス改定による社会保障費抑制
No234n (2015/02/06)
 介護保険によるサービスの公定価格である介護報酬が改定され、平成27年度から全体で2.27%引き下げられることになった。1月11日、塩崎厚労相と麻生財務相の閣僚折衝で合意され決定した。平成18年度以来9年ぶりのマイナス改定となった。介護報酬の引き下げは、膨張する介護費用を抑制するために行われた。介護報酬とは、介護保険サービスの事業者が提供したサービスに対して受ける報酬金額のことである。1割は利用者が自己負担し、9割は市町村が運営する介護保険で賄っている。保険の財源は税金と40歳以上の人が支払う介護保険料である。
 超高齢化社会を迎えたわが国の要介護高齢者に掛かる費用は年々増加している。介護保険の総費用は、制度が始まった平成12年度は3,6兆円だったが、平成26年には10兆円に増大した。介護サービスに要する費用としての介護報酬が下がれば総費用の伸びは抑えられるが、介護サービスを提供する事業者には大きな打撃となる。報酬引き下げにより介護事業者の経営悪化が懸念される。事実、昨年末に特別養護老人ホーム(特養)、老人保健施設(老健)、介護型療養病床の3団体が「現状でも特養の3割が赤字であり、報酬がダウンすればさらに多くの施設が赤字となる」と訴えた。経営が悪化すれば、質の高い介護サービスは望めない。
 そもそも介護の仕事は重労働にも拘わらず、通常の業種より平均賃金は10万円低く、月22万円程度だという。これでは一家を養っていくことは難しく介護職の人手不足は深刻化している。そのため政府はこれまでの介護報酬の改定の度に待遇改善に限定した加算を組み込んで賃金アップを図り、これまでに月約3万円は増額したが離職者は止まらない。団塊の世代が全員75歳になる2025年には今より100万人も多くの介護職員が必要であるという推計もあり、待遇の改善は急務である。
 一方、政府は費用のかかる施設入所から在宅介護への推進を進めてきた。要介護高齢者を通所や訪問、宿泊などのサービスを在宅で強化することで、急速に膨らむ社会保障費の抑制を図っている。在宅介護系「デイサービス」では時間延長の拡大、「小規模多機能型居宅介護」では訪問サービスの強化や在宅での看取り支援に対して報酬を加算するとしている。 医療費と並んで介護費も急速に増大する問題にどう対応するか、大きな課題である。
NH
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