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急性腎不全
No237n (2015/03/20)
 慢性腎不全と急性腎不全とは違った病態で、急性腎不全が長期に渡ったものを慢性と言うのではない(参照:新しい診療理念「CDK慢性腎臓病2014/11/13版No.118r」、医療ニュース「腎臓の働き」2014/12/12版No.231n)。今回は急性腎不全の病理発生について述べる。それには腎臓の形態と機能、特にその血液循環と尿の生成を知って頂きたい。
 無尿と尿閉とは異なる。無尿は腎糸球体での濾過量の減少で起こるが、尿閉は腎盂、尿管まで来た尿がその下流で止められ、尿道から体外へ排泄できない状態である。急性腎不全になると、糸球体濾過量の低下により多くは乏尿、無尿となる。急速に尿毒症へ進行し、透析療法が必要となる。
 急性尿毒症は理論的には全身的な循環不全(脱水・心不全・ショック即ち末梢循環不全)による腎前性、腎臓そのものの障害による腎性及び尿路の閉塞(結石・悪性腫瘍による圧迫)による腎後性に分けられるが、腎後性のものはある程度時間がかかるので、多くの急性腎不全は全身性循環不全によるものか、腎内の循環不全によるものである。
 大動脈から分枝した腎動脈は腎門から腎臓内に入り、次第に枝分かれをする。その時分岐した枝は、糸球体が存在しない髄質の中を腎臓表面に向かって走り、皮質と髄質境界部に沿って弓状に走行(弓状動脈)しながら、糸球体の在る皮質の中へより細い枝を分岐する。これを小葉間動脈と呼ぶ。この動脈から糸球体輸入細動脈を分枝して糸球体係蹄へ動脈血を注ぎ込む。糸球体係蹄は毛糸玉の様になっている毛細血管で、そこを血液は流れ乍ら濾過される。濾過された液体は原尿となり、尿細管−腎盂−尿管−膀胱−尿道へと流れ排泄される。尿細管を流れる間に大量の水、無機物資等が再吸収されて血液へ戻る。
 急性腎不全の多くは腎前性であれ、腎性であれ、血行障害で起こる。例えば両側皮質壊死は弓状動脈辺りで血栓や過度の動脈収縮(攣縮)が病因となる。敗血症(細菌が血中に入り、全身を流れ歩く)や内毒素血症(細菌が持っている内毒素が血液の中に入り、全身を流れ歩く。腸内細菌の場合が多い)のような病気が起こると血液や血管内皮の凝固因子が活性化され、全身の血管に種を播いたように血栓を生じる状態を播種性血管内凝固と呼ぶ。その時血中の血液凝固因子が費消されると出血が起こり、同時に尿毒症が起こると出血・尿毒症症候群と呼ぶ。挫滅症候群は戦争や大災害時に筋肉が短時日に挫滅された時に起こるもので、この名称が考えられた。筋肉の蛋白であるミオグロビンや赤血球由来のヘモグロビンが尿細管に障害を与えるためと考えられていたが、急性循環障害を起こす関与については未解決だ。
IS
   両側皮質壊死 | 敗血症 | 内毒素血症 | 播種性血管内凝固 | 出血尿毒症症候群
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