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続 一過性脳虚血発作(Transient Ischemic Attack, TIA)‐私の経験
No247n (2015/10/02)
 がんの治療方法としては、手術・抗がん剤・放射線治療の三大療法が標準治療とされ、治療が奏功せず末期状態になった場合は、余命3〜6カ月と医師から宣告されることが一般的である。
 ところが、患者がその後、いろいろなことを試みながらがんを克服して生き続け、がんが消えてしまうことがある。この自然治癒という現象について医師は全く関心を示さず、たまたま起きた例外だと黙殺してきた。
 私は60歳台の時に一過性脳虚血発作に襲われたことがある。朝起きて「猫の額」の庭で草取りをし、家の中へ入ろうと立ち上がった時、眼の前が急に明るくなった。それでも踏み石を上り、家に入ろうとした時、片足が何やら動かし難くなった。私は病理学が専門であるが、それでも医師でもあるので、脳梗塞にやられたかなと一瞬思い、部屋のソファの上に直ぐに寝て家内を呼び、ご近所の内科の先生に往診をお願いした。先生が来られる前にソファの上でその手足を動かしてみると麻痺が無くなってきたのでTIAだなと思って、これは助かったなと少し安心した。
 先生が来られて経過を聞かれた。この時先生はおそらく私の返事の仕方や表情を観察されていたのだろう。血圧、手足や顔の筋肉の麻痺の有無、眼球の動きなどを調べられて、やはりTIAと直ぐに診断された。勤務していた大学病院に紹介して下さり、救急センターに入院した。心電図で不整脈の無いこと、超音波で心房に血栓が無いこと、動脈造影X線で頸動脈に高度の動脈硬化は無く血栓も見られないこと、そして以前に眼科で閃輝性暗点(椎骨動脈の攣縮)によると言われている)と診断されたこともあり、最終的には動脈の攣縮によるdynamic TIAであろうと言われた。その後、脳梗塞を発症したことはない。因みに10年以上経ってから、殆ど自覚症状の無かった私の切迫心筋梗塞を発見して下さった命の恩人はこの内科の先生である。
 TIAを発症するとその約5%の人は2日以内に脳梗塞に移行するそうである。TIAはその名の通り一過性で治ってしまうので、放置しがちである。TIAは眼科、耳鼻科で初診を受ける患者さんも多い。TIAが疑われたら、脳梗塞への移行を防ぐために早急に内科特に循環器内科或いは神経内科で診療を受けた方がよい。
 TIAの成因は心臓特に左心房の血栓或いは頸動脈の血栓が剥がれて血流に乗って脳内へ流れるため(血栓性塞栓)と考えられているが、私のように動脈攣縮によるものもある。攣縮はおそらく分単位で解けてしまうので、客観的に証明し難い。顕微鏡ばかり見ていないで、偶には空を仰ぎ見なさいと脳神経外科の教授に叱られた。
IS
   脳梗塞血栓動脈硬化動脈攣縮 | 閃輝性暗点
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