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高齢者を支える 〜うつ病の予防〜
No251n (2015/11/27)
 高齢者のうつ病有病率(ある時点で病気にかかっている人の割合)は8.1%と言われており、うつ病は認知症と並んで高齢者によくみられる病気の一つである。高齢者がうつ病にかかりやすい背景としては、老化による身体・知的機能の低下や配偶者との死別などの喪失体験が重なること、定年退職による社会的役割の喪失、経済的基盤の脆弱化などがあげられる。これらの因子は、老年期特有の生物的、心理、社会的要因でもあるために、正常な老化の過程、あるいは死別反応と解釈され、本人や周囲の人も「年のせいだからしょうがない」と思い込み、受診せず重症化するまで放置されるケースも見受けられる。高齢者がうつ病に罹患すると,健康面や環境の問題から自殺に傾きやすく,高齢者の自殺者数も増加している。予防対策が大変重要である。
 日本老年学評価研究(JAGES)プロジェクトチームは、29市町村12万7,041人を対象に地域のうつ割合(老年期のうつ病評価尺度で5点以上)と社会的サポートの授受割合の関連を性別と前期・後期高齢者別に分析した。
 高齢者のうつ傾向割合は、最も低い市町村で21.5%、最も高い市町村で36.2%と約1.7倍の地域差があった(都市部に比べ農村部がうつ状態は高かった)。また「心配事や愚痴を聞いてもらう人がいない」(情緒的サポート)とサポートを受領していない割合は、2.3%から6.7%で地域によって3倍の差が見られた。逆に「心配事や愚痴を聞いてあげる人がいない」割合は5.4%から9.5%と1.8倍の差が生じていた。「心配事や愚痴をきいてあげる人がいない」割合が高い地域はうつ割合が高かった。同様に「病気で寝込んだ時に、世話や看病をしてくれる」(手段的サポート)割合が高い地域で、うつ割合が低く、後期男性でその傾向が強かった。「病気で寝込んだ時に、世話や看病をしてあげる」割合が高い地域も、うつ割合が低く、前期男女、後期男性で関連が強かった。
 うつのリスクとされる単独世帯の高齢者の増加が見込まれる中、住民同士の助け合いや社会参加の重要性が示唆された。
EN
   うつ病の予防 | 社会的サポート | 情緒的サポート | 手段的サポート | 住民同士の助け合い
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