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がん治療とがん幹細胞
No253n (2015/12/25)
 がんの治療は、手術、抗がん剤、放射線治療の三大療法が主体であるが、進行がんについては期待された治療効果を発揮できていない。しかし、前田華郎医師(元東京女子医科大学教授)が新に考案し、2001年から実践しているがん活性消滅療法(Cancer Energy Annihilation Therapy: CEAT)は、末期がんを含めた4500症例の治癒率が7割という驚異的な治療成績を示し注目されていることを本欄で紹介した(がん活性消滅療法について)。
 治療実績はにわかに信じがたいが、前田氏のいう“がん活性細胞”をがん幹細胞(がん細胞を生む親玉)だと考えると、説明可能かも知れない。がん幹細胞の性質としては、がん治療で大半のがん細胞を死滅させても、少数のがん幹細胞は治療に抵抗して生き残り、再びがん細胞を生み出し、再発させたり転移させたりすると言われている。
 実際に、がん幹細胞が存在することはいろいろながんで確認されつつあるが、がん組織の中にはわずかしか存在せず、詳しい研究が進んでいなかった。最近、神戸大と京都大のチームがiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製技術を応用し、人の大腸がん細胞からがん幹細胞を作る方法を開発したと発表。がん幹細胞を標的にした薬など新たな治療法の開発につながる可能性があるとしている。
 がん幹細胞は、自分と同じ幹細胞を作り出す能力(自己複製能)と、がん細胞に分化し腫瘍をつくる能力(多分化能)を有するというのが、がん幹細胞仮説である。実際にがん幹細胞が研究対象となれば、いろいろな新しいがん治療法が開発される可能性がある。例えば、薬剤耐性を獲得しているがん幹細胞を薬剤感受性のがん細胞に分化させる薬剤が開発されれば、がん幹細胞を根絶させる道が開ける。現在は、がん治療といえば手術が第一選択であるが、補助的な役割になるなど、がん診療が様変わりする時代が来るかも知れないという夢が膨らむ。
TI
   がん治療 | がん幹細胞仮説 | がん幹細胞iPS細胞 | がん活性消滅療法
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