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病院は教会でもあるのか
No260n (2016/04/15)
 この文章は、「医療ニュース」にそぐわないと思われる方が居られるかも知れない。わが国で医学教育の改革が実現されつつあった頃、回復が見込まれない末期癌患者さんに対する心のケアが注目され、病める人々に対する精神的ケアも診療の中に加えるべきとの考えが生まれた。ホスピスはその一例である。患者さんに対する精神的ケアは、心理学の問題でもあり、人生観の問題でもあり、哲学・宗教の問題でもある。医療者側にとってはこれらに配慮するヒュ−マニズムや博愛の心に根ざす人間的教養の問題でもある。そこで、医学は自然科学の一分野ではなく、人文科学、社会科学にも跨る応用科学であるべきとの考えも生まれた。
 その頃、或る評論に出合ったことがある。それはカトリック教徒でもあった作家の遠藤周作氏の医療に関わる評論シリーズの一文である。遠藤周作さんの友人はおそらく末期癌患者であったと思うが、或る日入院中のその友人を見舞って夜になり、病院を後にして振り返って病室の明かりを見た時、日本では病院は教会の役割もしているのではないか、と思ったとの文を読んだとき私は強烈な衝撃を受けた。医師は医療者であると同時に、神父や牧師の役割をも担っているのではないかと心に響いた。日本は仏教国とされているが、現実はどうなのであろうか。病院で臨終を迎えんとするとき、お坊さんが病室に呼ばれることは殆んどない。将来には医師になる医学生達にこの面での教育をどのようにすればよいのか? 答えは未だ無い。医学教育に3つのHを!と言われている。3Hとは、暖かい心(Heart)、急速に進歩している医学知識の豊富な頭脳(Head)、 そして熟練した手(Hands)の三つであり、その実践こそが答えの一つかも知れない。
 神父様でもある上智大学のデーケン教授(哲学)は、愛する人を失った残された家族の悲痛(Grief)を、少しでも和らげられるように心のケアの必要性を説いておられる(Grief Education)。
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   末期がんホスピス | 遠藤周作 | 精神的ケアGrief Education
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