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最高裁判決
No261n (2016/05/13)
 認知症患者を世話している家族が注目していた最高裁判決が2016年3月1日にあった。認知症患者の監督責任をめぐる裁判で、2007年91歳の男性認知症患者が、付き添っていた妻(当時82歳)のわずかな隙を抜けて歩行中に線路内に入って列車にはねられ死亡した事故でJR東海が家族に損害賠償を求めた控訴の上告審の判決で、地裁と高裁では妻と長男に責任を認めたのが、監督義務者に当らず賠償責任はないとされた。
 民法714条には重い認知症の人のように責任能力がない人の賠償責任を監督義務者が負うと定められている。監督義務をめぐる判断で責任の有無が決められるが、個々の事例で個別の判断するために次の判断規準6項目が示された。@介護者自身の生活状況や心身の状況、A認知症の方との親族関係の有無や濃淡、B同居の有無その他の日常的な接触の程度、C認知症の方の財産管理への関与の状況など介護者と認知症の方との関わりの実状、D認知症の方の心身の状況や日常生活における問題行動の有無・内容、Eこれらに対応して行なわれて監護や介護の実態。
 公益社団法人「認知症の人と家族の会」は名古屋地裁で家族が賠償責任を負わなければならないという判決があった時から会として取組み、2014年5月に厚生労働省へ「認知症の人が損害を与えた場合に賠償する新制度として、徘徊は家族にも鉄道会社にも防ぎきれない。当事者の責任にするのではなく、公的な賠償制度が必要」との申し入れをしている。
 高速道路を逆行して自動車を運転したことや歩道に乗り上げて人身事故を起こした認知症高齢者の報道に接して家族の責任だけの問題ではなく社会として問題解決を図る対策を立てなければならないと思う。
 日常生活の中で認知症の人の世話をしている家族にとってひと時も目をはなすことが出来なくて大変な思いをしている現状を世間の人がもう少し理解して、近所に住む認知症の人にも関心を示して社会全体として考えていくようにしなければ、今後益々増加することが予測されている認知症患者の問題は解決できないのではないだろうか。
SF
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