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good death


No267n (2016/09/16)
 わが国では、1970年代半ばから死や誕生が日常生活の場から急激に姿を消した。分娩の場は自宅から施設へ,死亡場所は自宅から病院へと移行し、2013年には自宅死の割合は12.9%、病院・施設等で85%の方々が亡くなっている。これらの変化により、私たちは、病人や特に老人の死を自宅において、家族が見守り、看取るということが無くなった。幼い子供達は老人の弱さや、その死も、また老人の持っている強さや尊厳性もほとんど知る機会を失った。さらに家人が介護で苦労をしたり、工夫したりといった日常の実践に関わる知識や知見(生死の作法など)、感覚といったものを磨く場が失われたことも指摘されている。
 医療者は病院で多くの死に遭遇する。看護師らは看取りを行いながらも自分が抱いた望ましい死が達成できない喪失感や無力感をたびたび体験する。病院で亡くなる方々にどのようなケアを提供すべきか、どのような死がgood deathであるのかといった議論が各国で行われた。1983年に初めてオニールが、good death とは、死ぬ時期が適切であり、死の過程をコントロールでき、死の状況が基本的に道徳的な原理で基づいていること、そして人の死として倫理的であることと定義づけた。good deathは、死のあり方や死にゆく過程における全体的な質を表す概念であり、「good death」「quality of death」「quality of dying and death」「peaceful end of death」といった言葉でも表現されている。
 エマニュエルらは医師の立場からgood death の枠組みとして「身体症状」「心理・精神症状」「社会的関係とサポート」「経済的な要求とケアのニーズ」「希望と期待」「霊的・実存的信念」の6つの領域からなるモデルを提唱した。ルーランドらは看護師の立場から peaceful end of life を導く構成概念として「苦痛がないこと」「安楽であること」「尊重されていること」「穏やかであること」「自分にとって大切な人が近くにいると感じられること」の5つをあげ、それを達成するための介入方法を示している。今後はgood death を達成するための具体的なケアのモデルを、実践の中からから研究し示していくことが、我が国の病院・施設における看取りのケアの向上に役立つと考える。
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