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高齢者死亡者数の増加と死亡診断書交付の規制緩和
No268n (2016/09/30)
 平成25年の人口動態統計によると、わが国の死亡者数は126.8万人であり、そのうち110.8万人(87.4%)は、65歳以上の高齢者である。今後、高齢者の死亡は急増し、平成42年には年間総死亡者数は1,600万人を超え、その約9割に当たる140万人は高齢者であると推計されている。
 高齢者の死亡場所について平成25年の同じ報告によると、87万人(78.6%)は病院・診療所などの医療機関、13万人(11.8%)は自宅である。医療機関での死亡数は前年比で0.1%の減少を示し、自宅での死亡者数は1.1%増加しているが、介護老人保健施設(老健)での死亡者数は前年比で11.7%の増加、特別養護老人ホーム(特養)での死亡者数は14.9%増加している。今後、医療機関での死亡者数の減少、自宅や施設での増加が見込まれている。
 こうした状況を受けて政府は規制改革会議で、在宅での看取りにおける規制を見直し、その中で在宅での看取りにおける死亡診断に関わる整備を検討することにした(規制改革に関する第4次答申―平成28年5月19日)。それによると、医師による対面での死後診察がなくても、死亡診断書を条件付きで交付できる方針を決めた。
 医師法20条では、医師が自ら診察せずに死亡診断書を出すことは禁じられている。しかしこの20条には但し書きが付いており、「医師が死亡の時に立ち会っておらず、生前の診察後24時間経過した場合でも、死亡後改めて診察し生前に診療していた傷病と関連する死亡であれば死亡診断書を交付できる」とある。
 今回の規制緩和は次の5項目を満たしていれば、死亡診断書を交付できるとしている。@近く死亡することが予測される A医師と看護師との連携が十分とれていて患者や家族の同意がある B医師による速やかな対面での死後診察が困難な状況にある C法医学等に関する一定の教育を受けた看護師が必要な情報を速やかに医師に報告できる D医師がICT(情報通信技術)を活用し死亡の事実確認や犯罪性の疑いがないことを判断できる。
 医師法20条の但し書き事項「生前に診療していた当該疾患と関連する死亡である」という上にこれらの5要件が付け加えられたのだから、確かに規制緩和と言える。しかしこの要件の中の、法医学の教育を受けた看護師、犯罪性のないことの確認、ICTで死の3徴候(心停止、呼吸停止、瞳孔散大)をどうやって判定するのか、今後、具体的な提示が必要だろう。
NH

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