HOME 医療ニュースバックナンバー 医療ニュース No268n

医療ニュースバックナンバー

少子高齢社会の献血事情と対策
No269n (2016/10/13)
 病気やけがで不足した血液や血液成分を補う輸血は、そのほとんどが献血によって賄われている。がんになる確率が高く、輸血を必要とすることが多い高齢者の人口が増加する中、課題になっているのが、若い世代の献血者の減少である。
 国内で輸血を必要とする人は年間約95万人といわれ、献血で集められた血液の80%以上は、がんや血液疾患などの病気と闘う人のために使われる。血液製剤の有効期間は短く、赤血球は採血後21日間、血小板は4日間しかない。こうした理由から、年間を通して献血が求められている。
 このまま若年層の献血者数が減少し続けると、2027年には85万人分の輸血用血液が不足すると予想されている。これに対して、日本赤十字社は中学校・高校生を対象とした献血の普及啓発活動を行っている。例えば、献血副読本の配布、はたちの献血キャンペーン、Love in Action などである。まだごく一部ではあるが、府県単位の血液セン ターでは、高等学校に出張して献血の目的などについて献血セミナーを行うとともに、出張献血を行っているところもある。
 言うまでもなく、献血は自発的な奉仕活動である。ボランティア活動の一つとして若者に理解してもらうことも重要ではないか。ちなみに、高校生のボランティア意識は日米で明かな違いがみられる。日本の高校生の3割がボランティア経験を持ち、「学校のプログラムにあるから」がその理由のトップであった。一方、アメリカの高校生は6割以上が経験し、そのうち9割は、「自分自身のため」「勧められて」などの理由だった。
 交通事故など自分自身がいつ輸血を必要とする事態になるかもわからない。仮に輸血によって助かっても、未知のウイルス感染の可能性があり、恩返しに献血をすることはできない。つまり、人間社会は見えない人々によって助け助けられて成り立っている。ボランティア活動の一つとしての献血を勧める理由である。
 献血の実際面では、初回にみられることが多いVVR(血管迷走神経反応:吐気、血圧低下)に対する配慮が必要である。特に、若い男子は血液を見ただけで気分が悪くなることもまれではない。気分が悪くなったときはやせ我慢をせず、すぐに看護師に伝えて採血を中止すれば問題がない。このことを予診の段階で説明しておくだけでも精神的に安定する。若者はその後、リピーター(複数回献血)となるだけに、初回はきめ細かな対応が望まれる。いつか、血液センターが“献血カフェ”として若者で溢れるのを期待したい。
TI

関連記事サイト内検索  :記事の最後のイニシャルをクリックすると、同じ著者の記事を検索できます。
       :キーワードのリンクをクリックすると関連記事を検索できます。