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高齢者を支える −うつ病予防の実際@−
No285n (2018/03/01)
 うつのリスクとされている単独世帯の高齢者の増加が見込まれる中、住民同士の助け合いや社会参加の重要性が指摘されている。人の心は繊細にできていて、傷つきやすいものである。魅力的で、知的な人物、かけがえのない人として見られている、と自分で思えるときや興味の持てるおもしろい仕事や活動に打ち込んでいるときには、ふつふつとエネルギーがわき出て、毎日が楽しく、充実感で満たされる。その反対に、人を惹きつける魅力を失って、だれからも関心を持たれていないと感じるときには、自分が無用な存在として隅に追いやられたと思い、心が傷つく。鉛を飲んだかのように心は重く、不安に閉ざされる。安らぎも喜びもなく、ただ空虚感に襲われる。心にぽっかりと開いた大きな穴を埋めようと、アルコールを飲んだり、忙しく働いたりする。しかしやりきれないほど寂しく、気力がなくなり、深い悲しみにうちひしがれる。
 これらの心の痛みや重苦しさはごく自然な反応であって、病的なことではない。生きていれば必ず心に傷を受けるものである。それを避けることはできない。しかしこのような苦しみの段階にいる人々は、助けをもとめようとせず、悲しみのうちに引きこもり、自分を被害者とみなして、何も、そしてだれも救ってくれることはできないと確信してしまいがちである。意識に浮かび上がるこれらの感情に支配されないよう段階的に開放されるためには、これらの感情の扱い方を覚えることが必要である。心の痛みを表現したり、分かち合うことである。苦しみについて語れるようになることが、解放に向けての第1歩となる。相手が、共感しながらきちんと話を聞いてくれれば、人としての尊厳を取り戻すことが出来る。話を聴ける人とは、相手を裁かず、大げさに騒ぎ立てることもしなければ、かといって軽く聞き流すこともしない。ただ話に耳を傾け、私たちに自信をとりもどさせ、ときには実際に即した知恵を与えてくれる。こうした支えをとおして、心が挫折した時に感じる深い悲しみなどは、ごく自然のことであることを理解できるようになる。
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