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高齢者を支える −アーミッシュの生き方から学ぶ@−
No288n (2018/09/15)
 私たちは高齢化社会を体験し、いかにして安心できる拠り所を持ち、満足感を得て暮らせるかという問いかけを繰り返している。高齢者のうつや自殺などの新しいリスクに対して、住民同士の助け合いや社会参加の重要性が指摘されて久しく、コミュニティへのあり方に多くの人々が関心を寄せている。
 アーミッシュとは、キリスト教に基づいたコミュニティに生きる人々のことである。17世紀頃に宗教的迫害を受け、アメリカに移民をしてきた。アメリカで近代文明に背を向けながら300年間、特有のライフスタイルを貫いてきた。自動車はもちろんのこと、テレビ、電気などの文明の利器を拒否し、大地に根ざして小集団によって、簡素な暮らし今日まで守り続けている。その生活には、いまでも多くの謎があるとされているが、信念に基づく徹底した生活には、多くの学びがある。
 アーミッシュでは、文明の利器についてその使用によって、自分たちが大切にしているものが犯されないか、使用によって何を失うのか、などについて徹底的に議論する。そしてその使用の可否の決定をする。たとえば電話は、彼らの生活構造を徐々に衰退させる恐れがあった、とアーミッシュ研究の第一人者である、社会学者のドナルド・D・クレイビル氏は指摘する。彼らは社会的な関係は、面と向かい合って直接会話することによって築き上げられる。ところが電話は、直接向かい合ってなされる人と人との交流、豊かな人間関係を象徴するこの交流のなかから、「会話だけのとりだし」にすぎない。身振りや顔の表情、そして服装による表現は、すべてアーミッシュの文化にとって大切であるが、これらのものは電話での会話では取り去られてしまう。電話でのメッセージは、多くの非言語的なメッセージを欠いてしまっているので、合理的で二次的な関係には適しているが、親密な人間関係にはそぐわないと考える。ただ一方的に禁止するのではなく、電話を個人の家のなかには取り込まず、公の場に電話を設け、葬式や事故などの緊急時には用いている。
 ドナルド・D・クレイビル氏は「私はアーミッシュと日本人が、互いに似通った社会的価値観を共有していると思われます。コミュニティ、家族、協同、簡素、謙虚などを大切にすることです」と述べている。コミュニティのあり方を検討するに当たり、いま一度、先人が残してくれた文化や遺産をふりかえるとこは、今の私たちにとって大変有意義であると感じている。
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