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新しい診療理念

「現代型うつ病」とは?
No110r (2014/01/10)
 最近増えていると言われる「現代型うつ病」とは、1)うつ病の症状がそろっている、2)真面目、周囲に気を遣いすぎる、など古典的うつ病の特徴と合わない、3)仕事では「うつ」、趣味では「元気」、4)「自分は損をしている」「OOのせいでこうなった」と責任転嫁、5)職場復帰がずるずる延びる、6)薬も効きにくい、7)主治医との関係もやや良好でない、などの特徴がある。
 「現代型うつ病」の登場は、うつ病の範囲が広がった、もともとの性格は診断基準に入らない、その人が受けているストレスが評価されない、などのために、従来は「性格的な問題」「神経症」と言われたものが「うつ病」に含まれることになったためであろう。
 米国精神医学会DSM-Vによるうつ病の診断(大うつ病エピソード)は、以下の5つ以上がほぼ毎日2週間以上存在する。
・ ひどいゆううつ気分
・ 興味・喜びを感じない
・ 食欲低下(増加)
・ 不眠(過眠)
・ いらいら
・ 疲れやすい、気力がない
・ 無価値観、罪業感
・ 集中力がない、物事が決められない
・ 死にたい
 欧米では「現代型うつ病」という概念は提案されていない。もともとうつ病の範囲が広かったし、上記のDSM-Vのような操作的診断でさらにうつ病の範囲が広がってきている。従来の概念では、「現代型うつ病」は「気分変調症」「非定型うつ病」「双極II型」などに近い。
「気分変調症」は、ゆううつが1日中で2年以上続き、以下の2つ以上該当する。
・ 食欲減退
・ 不眠
・ 気力低下、疲労感
・ 自尊心低下
・ ものごとを決められない
・ 絶望感
 「非定型うつ病」は、うつ病症状は存在するけれども、楽しいこと、好きなこと、良いことがあるとうつ状態が一時的に良くなる。以下の2つ以上が該当する。
・ 著しい食欲増加
・ 眠ってばかりいる
・ 鉛が体に入っているようなだるさ
・ 対人関係でひどく傷つきやすく、適応できない
 「双極II型」は、軽躁状態のエピソード(4日以上、社会的職業的な障害を引き起こさない軽いレベルの躁)があるうつ病で、広い意味では双極スペクトラムの1種である。うつ病としては決して軽症ではなく、むしろ治療反応性は悪い。過眠過食、不安、自殺企図が多く、高揚性、不安定性格が多い。
 「現代型うつ病」の治療は、抗うつ薬は下地程度で、主役ではない。具体的指示には反発するので、自分のペースで出来たことを評価し、適度に背中を押す。安静、休養より体力、運動療法が大切で、家庭内での役割を持ちリズム正しく過ごすことが良い。
 「現代型うつ病」の概念の意味と注意点は、患者の背景にある心理社会、性格の問題に目を向ける意味があり、薬物に力点を置かぬ、治療は受け身でなく主体性が必要、「自分勝手」「甘えにすぎぬ」「性格が悪い」というネガティブイメージを強調しない、うつ病の1タイプとしての位置づけ、などが注意点である。
SS
   現代型うつ病 | 気分変調症 | 非定型うつ病 | 双極II型 | 注意点
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