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炎症性腸疾患 Inflammatory Bowel Disease, IBD −補遺−
No113r (2014/05/01)
 この名称は種々の腸管疾患特に大腸のそれらが含まれている総称的な疾患群である。とくに潰瘍性大腸炎とクローン病(肉芽腫性腸炎 この病気は小腸にも病変)が代表的なものである。細菌などの感染性腸炎は急性の経過を示すが、IBMは慢性のものが多く慢性炎症性腸疾患 Chronic Inflammatory Bowel, CIBDとも呼ばれる。それぞれの症状も似ており(便秘、下痢、血便など)原因はよく分かっていない。日本でも増えていることが指摘されている。細菌などの感染性腸炎は急性の経過を辿るものが多いが、感染性で慢性のものにはアメーバ性赤痢、腸結核がある。
 大腸内視鏡の進歩があり、更にそれによって粘膜生検が行われるようになり、診断の精度が確実に上昇している。しかし粘膜の生検は数ミリの小さな組織片が対象であるので、診断に直結するような所見を顕微鏡下で得られないこともある。潰瘍性大腸炎は主として粘膜を侵し腸管壁の全層を侵さない。これに対してクローン病は小腸にも病変があり、腸管壁の全層を侵すこともしばしばである。しかし粘膜生検では粘膜しか観察対象にならないので、病変の深さを判断できない隘路がある。潰瘍性大腸炎は若者にも見られる。最近有効な内科的治療法が開発されてきた。顕微鏡で観察しても急性細菌性腸炎と潰瘍性大腸炎の急性活動期との区別が困難なこともある。クローン病は肉芽腫性腸炎とも呼ばれる。これは組織球由来の細胞が小結節状に見える類上皮細胞肉芽腫を顕微鏡下で観察されるものである。しかし結核も類上皮細胞肉芽腫を形成するので、鑑別が問題である。肉芽腫の中央に壊死巣があれば、結核と判断できる。アメーバは人間の組織球(大食細胞)と似ており、しばしば赤血球を貪食し、粘膜の表面に付着している。腸間膜動脈の動脈硬化や血栓症が起こると腸管の一部に虚血(動脈血流量の不足)が起こり虚血性腸炎及び激しい場合は腸管壊死を起こすことがある。その他、膠原病の時や薬剤による副作用で腸炎を起こすこともある。大腸内視鏡の肉眼所見は病巣の場所、形の特徴を俯瞰的に見ることができるので、顕微鏡所見と総合して判断することが重要であるので、IBDに含まれる病変は複雑であるので、そのうちのどれであるかを正しく診断される必要がある。従って大腸内視鏡に熟達している消化器専門医と経験を積んだ病理診断医の居る病院を訪ねることをお勧めする。
IS
2012/09/21 No097r 炎症性腸疾患Inflammatory Bowel Diseases (IBD)
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