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機能性ディスペプシア
No121r (2015/02/06)
 定義:上腹部痛や胃もたれ症状などが長期間にわたって繰り返し出現するが、この原因となる潰瘍や進行がんなどの器質的(臓器や器官に認められる形態的・解剖的変化に伴う)疾患が精査を行っても発見できない病態。
 原因:多因子性(多くの原因による)と考えられ、上部消化管の運動異常(胃排泄能低下、胃適応性弛緩障害など)、胃伸展知覚過敏、十二指腸の酸刺激知覚過敏、ヘリコバクター・ピロリ菌(各種胃疾患に関係があるグラム陰性桿菌)感染に伴う胃粘膜の炎症、十二指腸粘膜の好酸球浸潤を伴う炎症、精神・心身医学的原因などである。
 疫学:日本人の10%〜20%は本症と診断可能であり、上腹部症状を有する器質的疾患をもつ患者よりも若く、かつ女性の頻度が高い。
 症状:数週間〜数か月以上にわたって心窩部(正中上腹部)痛、心窩部灼熱感、食後の胃もたれ、早期飽満感、嘔気などの上腹部症状を訴える。非びらん性胃食道逆流症や過敏性腸症候群を合併し胸やけ症状や便通異常を伴うことが多く、うつ症状や不安症状を訴えることも少なくない。
 診断:症状のために患者のQOLが低下し、治療を求めている。不安神経症、うつ病、非びらん性胃食道逆流症、過敏性腸症候群などの合併の有無に注意。薬物服用歴(非ステロイド性消炎鎮痛薬、低用量アスピリン)に注意。警告徴候(原因が特定できない体重減少、再発性嘔吐、出血徴候、嚥下障害、高齢者)などがあれば上腹部内視鏡検査を直ちに行う。
 検査:上腹部内視鏡検査、炎症反応のチェック、検尿、便潜血検査などを行う。
 鑑別診断:器質的疾患をほぼ否定できる。
 治療方針の決定:4週間単位で治療法の有効性を検討し、治療に抵抗性がみられた場合には、器質的疾患を再検討する。
 治療の実際:プラセボ(偽薬)効果が40%位ある。ヘリコバクター・ピロリ菌陽性ではこの除菌を行う。プロトンポンプ阻害薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬、消化管運動機能改善薬、抗不安薬、漢方薬(六君子湯)など。
SS

          機能性疾患器質的疾患の否定 | 警告徴候 | プラセボ効果
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