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便秘の総合診療
No122r (2015/05/01)
 便秘は日常的によくみられる症状の一つであるが、便秘に苦しんでいる患者は多い。そのため、消化器内科として専門診療を行っている病院でも、別に便秘外来を開設しているところも少なくない。ネットで検索すると、便秘外来は全国各地の病院に認められる。
 ところが、20年前、大学病院で初めて便秘外来を開設した順天堂大学医学部附属順天堂医院の便秘外来(小林弘幸教授。以下、小林外来と略)は患者が殺到し、初診の予約が4年半待ちだという(小林弘幸『読む便秘外来』集英社)。患者は年齢を越えて、近郊はもちろん、北海道や沖縄など全国から訪れている。この理由は何であろうか。
 通常、便秘外来は問診からはじまり、腹部の触診、血液検査、大腸のX線検査ないし内視鏡検査へと進む。問診では、腹部症状の有無、食事習慣や食事の内容がくわしく聞かれる、検査では、甲状腺機能低下症、糖尿病、大腸がんなど便秘を合併する疾患の有無がチェックされる。治療は、合併症がなければ整腸剤の処方、食事や睡眠、運動など生活指導が行われる。小林外来も基本は同じである。
 小林外来の特徴は、便秘の原因について自律神経のバランスの乱れを重視していることである。自律神経は交感神経と副交感神経からなり、胃腸の機能をコントロールしている。交感神経が優位になると腸が動かないタイプの便秘に傾く。これが原因と考えられる場合は、自律神経のバランスを整える方法をいろいろ教えている。
 交感神経が優位になる原因の多くは、ストレスフルな現代生活が関係している。教授は、「ゆっくり」をキーワードとして生活することを薦めている。つまり、便秘の多くは病気というより、追われるような生き方に原因があり、その点に着目しているのが新しい診療理念といえる。これは、臓器や病気の側から診るのではなく、病人の側から診る総合診療ともいえる。ちなみに、教授は総合診療科に所属し、消化器内科で便秘外来を開設している。
TI

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