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ナーシングホーム専門医
No128r (2016/02/05)
 ナーシングホームは高齢で日常生活に介助が必要となった人の世話をする施設として設置されているが、そこで行なわれる医療内容はそれぞれの国の医療体制により異なる。わが国の介護保険で認められている老人保健施設(老健)と特別養護老人福祉施設(特養)がナーシングホームに相当すると考えられるが、利用者が病気を併発して治療が必要となった時は病院を受診し、必要に応じて入院・治療を受け、良くなれば施設に戻るようになっている。
 オランダでは認知症の患者の多くは死亡する前にナーシングホームを利用し、70%が利用しているといわれ、死亡の場所として2006年は自宅31%、病院28%、ナーシンホーム25%、高齢者ホーム11%、その他5%となっている。
 オランダではナーシングホームを医療施設と位置づけ、厚生省はそこでの医療ケアのレベルを改善するためナーシングホームを新しい専門分野とし、1990年に新たなナーシングホーム専門医(Nursing home physician)の研修を開始した。2009年から老人医療専門医(Elderly care physician)と名称が変わり、2010年にはその数は1500人で、オランダでは5番目に多い専門医となっている。オランダのナーシングホームは、ベッド100床に一人のナーシングホーム医を置かねばらない事になっている。
 ナーシングホーム専門医となるための3年間の研修プログラムではナーシングホームや病院の4ヶ所、6〜12か月毎に回り、週の4日間は専門医の指導による実地研修と1日は教育病院トレーニングセンターでショートプログラムを受けるようになっている。3年間の中には選択で3か月間ホスピスやリハビリセンターあるいは科学的研究をする期間もある。
 特養に入所している認知症の高齢者が併発症で受診したときにどこまで高度医療を行うべきか担当した専門医師の判断で診療が行われているが、超高齢者社会となった日本で施設に入所している虚弱高齢者も多くなり、今後予測される医療高騰の問題を考えると患者のQOLと同時に費用・効果も念頭においた医療が必要であると考える。そのためにオランダのナーシングホーム専門医のような高齢者緩和医療を担当する医師が必要なのではないだろうか。
SF

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