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非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
No129r (2016/03/04)
 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、脂肪肝を組織診断(病理組織学的診断)か画像診断(X線写真、シンチグラム、X線CT、超音波、MRIなどでの診断)で認め、アルコール性肝障害などの他の肝疾患を除外した病態である。肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などを基礎に発症することから、メタボリックシンドロームの肝病変として捉えられ、病態がほとんど進行しない非アルコール性脂肪肝(NAFL)と進行性で肝硬変や肝癌の発症母地にもなる非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に分類される。
 NAFLDの有病率は世界的に増加傾向で、肥満人口および平均BMI(ボディ・マス・インデックス、体重(kg)/身長(m ×m))の増加に伴っている。わが国では有病率は約30%と報告されている。本症は生活習慣病の増加に伴い、さらに増加することが予想される。年齢分布は、男性は中年層、女性は高齢層に多い。小児のNAFLDの有病率は3%と報告され、年齢が上昇すると高くなり、15~19歳で17.3%と報告されている。NASHの有病率は3~5%と推定されている。肝硬変に占めるNASH肝硬変は2.1%である。肝細胞癌に占めるNASHを誘因とする割合は2~5%とされる。
 特異的症状・身体所見はなく、倦怠感、不眠、肝腫大がみられることがある。  背景因子はメタボリックシンドロームと共通する因子が多く、特に肥満とインスリン抵抗性が重要要因である。NASHの進展には酸化ストレスや腸内細菌叢の変化、自然免疫系などの関与が示唆されている。薬物、消化管および膵臓の外科的切除なども原因になりうる。NAFLDは心筋梗塞や慢性腎臓疾患の危険因子となり、悪性腫瘍(口腔、咽頭、肺、食道、胃、大腸,膵、卵巣、子宮などの癌)、精神疾患(大うつ病、認知症、睡眠障害)などの合併で生活の質を低下させる可能性がある。
 食事や運動療法による体重減少は3~12か月の施行期間でNAFL/NASHの肝機能や組織像が改善するので推奨される。薬剤はインスリン抵抗性を合併するNASH症例、高コレステロール血症を有するNAFL/NASH症例、高血圧を有するNASH症例に用いられる。食事内容でNAFLDの危険因子は、総カロリー、糖質、ソフトドリンク、肉類、脂質があげられる。摂取不足が危険因子となるのは、魚類、食物繊維があげられる。カフェイン摂取による肝線維化進展抑制効果が報告されている。
SS

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